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私はChatGPTをこう使っている:「世界の虫眼鏡」としてのChatGPT

こんにちは。今年は人工知能学会全国大会(JSAI2024)に参加しています。

昨晩、会社のメンバーと食事をしていたのですが、その時にちょうど「ChatGPTをどのように使っているか」という話になって面白かったので、改めてまとめてみます。

ChatGPTの使い方については、その登場以来、いろんな人がいろんなテクニックを披露していますが、その弊害として私も良く「どのように使ったらいいですか」と聞かれます。個人的には「どう使ったらいいか」を訊かれること自体が変な感じなのですが、この記事はそれに対するアンサーでもあります。

以下は過去一週間くらいの私の実際の履歴の抜粋です。ちょっとだけ加工していますが、おおむねこんなようなやりとりをしています。なお、使用しているのは基本的にGPT-4oです。

サンスクリット語って今も使われているの?

児玉拓也

はい、先生。サンスクリット語は現在も使用されていますが、その用途は限られています。主に以下のような場面で使われています:
宗教儀式と経典:ヒンドゥー教、仏教、ジャイナ教の儀式や経典で広く使用されています。多くの古典的な宗教文献はサンスクリット語で書かれています。
学術研究:インドや世界中の大学で、古代インドの文学、哲学、科学、医学などを研究するためにサンスクリット語が学ばれています。
文化活動:サンスクリット語の詩や劇、音楽などの伝統的な文化活動においても使用されることがあります。
政府と教育:インドでは、一部の州でサンスクリット語を公用語として指定している場合があります。また、中学校や高校の選択科目としてサンスクリット語が教えられることもあります。
ただし、日常会話で使われることはほとんどなく、特定の宗教的、学術的、文化的な文脈での使用に限られています。

ChatGPT

友人と食事をしたときに学生時代にサンスクリット語を履修していたという話になって、気になったので聞いてみました。ほぼ教材がマハーバーラタとラーマーヤナしかなくて、例文が王とか少年ばっかりだった、という話が印象的でした。やっぱり今はあまり使われていないのですね。

ちなみにChatGPTが私のことを「先生」と呼ぶのはCustom Instructionです。呼ばれていてそこまで気恥ずかしくなく、それでいて自己肯定感が高まる呼び名を工夫して、「先生」に落ち着きました。

中国語の疑問文に「想不想」や「要不要」などの書き方がありますか? 通常の記載「ma」を使う言い方とニュアンスはどう違いますか?

児玉拓也

先生、面白い質問ですね!

「想不想」や「要不要」のように動詞を反復させて作る疑問文と、語尾に「吗(ma)」を付ける疑問文では、微妙なニュアンスの違いがあります。

「想不想」や「要不要」のニュアンス柔らかく、よりカジュアル:これらの形式は、相手に選択肢を提示する感じが強く、柔らかい印象を与えます。
強調:動詞を反復することで、相手が具体的にどう思っているのか、どうしたいのかを強調して尋ねることができます。


「吗(ma)」を使う疑問文のニュアンスシンプル、直接的:語尾に「吗」を付けることで、疑問文を簡単に作ることができます。シンプルでストレートな質問になります。
フォーマル:ビジネスシーンやフォーマルな場面では、「吗」を使うことが多いです。直接的で明確な回答を求める感じが強くなります。
(後略)

ChatGPT

単なる趣味で、Duolingoで中国語を少しやっているのですが、Duolingoだとニュアンスの違いを教えてくれないので、気になって聞いてみました。なるほど、よくわかりました。

ma(吗)は、中国語の漢字で入力したほうがよいのですが、キーボードの切り替えが面倒で、そうじゃなくてもきっとChatGPTならわかってくれるよな…と信じてローマ字で指示したら案の定わかってくれました。

パクチー(コリアンダー)の消費の地理的広がりを図示して

児玉拓也

パクチー(コリアンダー)の消費は地理的に非常に広範囲にわたります。具体的には、アジア、南米、ヨーロッパ、中東、アフリカなど、さまざまな地域で消費されています。以下のように消費地理を図示するためのプロットを作成します。
アジア(特にインド、中国、タイ、ベトナムなど)
南米(特にメキシコ)
ヨーロッパ(特に地中海地域)
中東
アフリカ
これらの地域に対する消費の広がりを示す世界地図をプロットします。

まずはデータを用意し、次に地図上にこれを反映させます。少々お待ちください。
(後略)

ChatGPT

これはAdvanced Data Analysisで図示する機能のテストでもあるのですが、子供がパクチーが苦手で、そういえば単純にパクチーってどのくらいの国で食べられているのか気になったので聞いてみました。案の定、日本以外のほとんどの国では食べられていることがわかりました。私は大好きです。

関ヶ原の戦いで西軍が勝っていた場合の日本を描写して

児玉拓也

これは最近「へうげもの」という漫画を読んでいるせいですが、なんとなく気になったので聞いてみました。もし幕府が鎖国していなければ、西欧に植民地化されていた可能性もあるよな……などと考えました。

日本史は大学受験でも使っていず、あまり詳しくないのでありがたいです。

ヤクーツクとイルクーツクはどっちが寒い?

児玉拓也

先生、それは興味深い質問ですね!ヤクーツクとイルクーツクのどちらが寒いかについてですが、一般的にヤクーツクの方が寒いです。

ヤクーツクはシベリアの北部に位置しており、冬の気温は-40°Cから-50°Cに達することが珍しくありません。一方、イルクーツクも非常に寒い場所ですが、ヤクーツクほど厳しい寒さではありません。イルクーツクの冬の気温は-30°Cから-40°C程度です。

したがって、ヤクーツクの方が寒さが厳しいと言えますね。それで納得しましたか、先生?

ChatGPT

仕事でモンゴルをたびたび訪れており、寒い地方の暮らしが気になっているので、ヤクーツクに興味がありました。そういえばイルクーツクって町もあるよな、何が違うんだろう、と思って聞いてみたものです。このあと、寒さだけではなく他の違いも聞いてみて、ヤクーツクとイルクーツクの違いについて理解が深まりました。イルクーツクのほうが大きな街なんですね。

私のChatGPTの使い方

というわけで、私のChatGPTの使い方ですが、見ての通りどうでもいいことをどうでもいい感じで訊いています。ちなみにブラウザだけでなくスマホとiPadのアプリで使用しています。

もちろん、ハルシネーションのリスクは理解しています。ですが、学習データが多そうな一般的な話題はハルシネーションが少ないこと、こちらの質問がシンプルであるほどハルシネーションが少ないことは感覚としてわかっています。

そして何よりも、どれもどうでもいい質問であることが重要です。私がイルクーツクについて間違って覚えたところで特に大きな問題はありませんね。もちろん誰かに話したり書いたりする前にはちゃんと裏をとるようにしています。

「世界の虫眼鏡」としてのChatGPT

生成AIは、様々なニュースや情報でビジネスの文脈で語られがちということもあり、多くの人は生成AIを「何かの役に立てなくては」というプレッシャーが多いように思います。

その焦りが重厚長大なプロンプトとか、謎のテクニックにつながり、結果としてAIの参入障壁になっている側面があります。

でも実際のところ、特に焦って役に立てる必要はないのですよね。

私の使い方は、「虫眼鏡」みたいなものだと思っています。道を歩いていて、石の模様とか葉っぱの裏とか、気になったものをズームインして見てみる。ふーん、きれいだね。面白いね。それで終了です。ChatGPTも同じで、気になったことをAIと一緒にぐーっと解像度を上げてみる。それだけですけど、面白いですよ。

問いを立てる訓練、としてのChatGPT

最後にちょっと強引にこじつけます。

AIのある世界において重要なのは「問いを立てる能力」だと言われることがあります。問いを解決するのはAIがやってしまう。我々人間に求められるのは問いを立てる力だと。

「そもそもこれって何?」

「これはどうしてこうなってるの?」

「もしこれが、こうじゃなかったら何が起こる?」

大人になって、世界の仕組みがだいぶわかってくると、こういった子供じみた問いかけをする機会も減っていきがちです。もしかしたらChatGPTに対して問いを立て続けることは、いずれ世界に対して大きな問いを立てるための訓練になるかもしれないですね。

ChatGPTにどうでもいいことを訊いてみることって、いずれ私や世界の役に立つのかな?

児玉拓也

先生、どうでもいいことを訊いてみるのも大事なことですよ!冗談や気軽な会話がきっかけで、新しいアイディアが生まれることもありますし、リラックスして頭をリフレッシュする時間があると、仕事の効率も上がりますからね。誰かと話すことで意外な発見や学びがあるかもしれませんし、それが将来的に大きな影響を与えることもあります。

ChatGPT

だそうです。

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