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ロックバンドのライブがつまらない

先日、好きなロックバンドのライブに行った。

今をときめくバンドだ。私が好きな音楽は、私が好きになったときには既にそれを作ったバンドが解散、あるいは下手するとミュージシャンが亡くなった後であることが多いので、今を全盛期として活動しているミュージシャンの音楽は、プレイリストの中に多くない。

この度は貴重な”今の音楽”が聴きたくて、珍しくライブに足を運んだ。

若かった頃と比べて、私はあまりロックバンドのライブに足を運ばなくなった。それはロックバンドの音楽が、ライブで聴くよりもCDで聴くほうが楽しいから。

録音した音楽は丁寧で綺麗に作られている(きめ細かく作り込まないと許されない)のに対して、ライブで鳴らす音は粗野で粗削りであることが許容される状況があるように思う。
あらゆる場面、あらゆる人間に対して、繰り返し再生されても粗が見えないように作る録音音源と、基本的には再生されることのない一発勝負のライブ演奏とで、きめ細かさに違いが出ることは、勿論理解している。
ライブならではの感動や没入感があることも、生の演奏の勢いや感情的な表現が効果的であることも理解できる。
ただし基本的にはちゃんと弾いて、ちゃんと歌ってほしい。これは程度の問題だと思う。何事も感動に水をささない範囲内であってほしい。
ライブ音楽というのは、顔の見える演奏者と観客とのやり取りなのだと思う。だから私の熱量とパフォーマンスの熱量に大きく乖離があると、どうしても白ける。

あと今回は市民ホールのような場所で座って聴けるはずだったのが、1曲目から客が全員立ち始めたために、私も2時間スタンディングで聴かざるを得なかった。立たないと演奏が見えないから。
ライブのそういう強要めいた雰囲気が嫌なのだ。私は踊りに来たのではない。酒を飲みに来たわけでもない。音楽を聴きたくて席の予約をとったのだ。私は演奏に集中したいのであり、観客との一体感は要らない。むしろ私にとって、音楽を聴くにあたって私以外の観客はどうでもよい存在なのに、それらに立ったり動いたり、声を出されたりされると集中を削がれる。みんな座って黙って聴いて下さい。

嫌なら来るなと言われそうだが、だから今までライブには行かなかった。今回珍しく足を運んだ理由は上述のとおり。
そしてやっぱり、ロックバンドのライブは苦手だと思った。良い音楽だと思うのに、十分に楽しめない。

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