#5 確立させた自己、再婚

中学3年生、自己を確立させた。
環境に依存せず、自分の足で生きること。
いつ死んでも後悔しないように、毎日を必死に生きること。
常に感謝すること。
継続して努力すること。
自分にした約束を裏切らないこと。

母と私の関係は良好になり、父も悠々自適に過ごしていた。と思っていた。

なにか今までと違う世界を生きはじめた私は、悟りを開いたお坊さんかのように感謝と幸せで溢れた生活を送った。

中学3年生の終わり、父は再婚の話を切り出した。
今聞けば、「1人で老後を生きるのが寂しかった」のだそうだ。私は父の決断を後押しするのが長女の役割だと思ったし、行動でもそう示した。ずっと、パパの好きなようにしな、と声をかけていた。

実際に3人ほど、再婚を検討している人と会う機会があった。現実味がわかないので、適当な笑顔を作りながらご飯を食べて、とりあえず愛想よくするに努めていた。父のイメージが下がらないように。
とうとう高校1年生の秋、父が本当に再婚する、と切り出した。

せっかく確立させた自己の、崩壊のはじまり。

どこかで「父が愛してくれるのは私と弟だけ、再婚なんて無理」と思っていた私は、あさましい(驚きあきれる)、と思った。適当なウソをついて相手のLINEをもらって、父が片付け下手なこと、貯金が一切ないこと、などなど写真付きで送信した。とにかく、再婚なんて考えられなかった。

逃げた。母の家に。母は、なんでもするからおいで、と言ってくれた。その言葉を信じた。

離婚に再婚、目まぐるしく変わる「家庭」の環境、ティーンエイジャーの私に受け止められるわけがなかった。

2022/2/25

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