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仕事の質にこだわる人が量に押し潰されることを回避したい

柴田(@4bata)です。ここをあと半年ぐらいで突破したいところなので、社内でもシェアするために書きました。

考えたきっかけ:「経理部あるあるエピソード」を聞いた

教えてもらった経理部あるあるエピソード
・経理の仕事を頑張りたい人は、税理士を目指していたり、会計処理の「質」をあげるために頑張っている
・そのために成長している企業に転職し、前職よりいろいろできるポジションについて働いたとする
・成長している企業は、請求や支払いなど「取引量」が増え続ける。「仕事の質」をあげるために頑張ろうとしていた人が、取引量の増大に対応できず、忙殺されてしまうケースが多い
・「量」への対応はプログラミングなど、違う分野の勉強が必要。でも全く学んだことがないので、どうして良いかわからない人も多いし、その解決策に気がつかない人も多い。

上の経理部あるあるを聞いて「なるほど」と思った人は、私と似た状態にあるので、以下の内容に意味がありそう。「いまさら何言ってるんだ」と思った人は、以下必要ない。私も「量に対応しないといけないのに、できてない」側の人だ。「量に対応できている仕事」の人からすると当然のことなのだろう。このあたりのすれ違いを考えたい。

「よい仕事のやり方」には流派がある

ざっくりふたつに分けてみる。再現性でよい仕事をする派、偶発性でよい仕事をする派。本来は両立できるものだけど、大抵の人は片方を仕事で多用する。再現性と偶発性を両立しているエピソードを紹介する。パナソニックのホームベーカリー開発のエピソードだ。引用する。

田中さんはハードな実験のかたわら、木村シェフのものとにも、学生時代以上に通い詰めた。
「どうしたら先生のようなおいしいパンができるのか、いつも必死に観察していました。特に、練りの手つき。先生は生地を叩くだけでなく、よく引っ張っていたんですよ。ウチの製品にもこの動きが重要だと確信し、すぐにハード担当者に相談しました」
そして生まれたのが、パンケースの内側につけたリブだ。
「ケース内で回転する生地をこのリブがひっかけることで、先生が手で生地を引っ張っているのと同じ効果を再現させようとしたんです」

リブとはこれ(ここから引用した)。

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再現性は、木村シェフの技をリブで再現しようとしたことだ。偶発性は、木村シェフを観察して、何がポイントなのか見つけ出したところだ。

「再現性」で良い仕事をする派

最近読んだトヨタのホワイトカラー部門の改革を事例にした「自工程完結」という本がよかった。

人間の頭は、しっかりとプロセスや手順を意識しなくて順番がバラバラでもそれなりの結果が出てしまう「自工程完結 P90」

あとこういう発想。ちょっと先行き不透明なほうが面白いみたいなことだ。

作者が展開を知らないままつくる作品はおもしろくなる(引用元)

手順が決まっていなければ、「それなりの結果しかでない」から手順を決めよう、という話だ。プロセスや手順が決まっていなくても良い結果を出す人のことを高く評価している会社の場合、再現性が重視されていないと言える。

この書籍には具体的な手順の定め方が書いてある。それはそこから学んでやればよい。会社として「何をもって高い評価とするか」の評価基準の前提となる価値観がずれていれば、再現性がよい仕事とはみなされない。以下の図でいう「間違った仮定や思い込み」の部分だ(参考)。

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行動を変えるには、評価制度や方針を変える必要がある。方針の前提にある「間違った思い込み」が変わらないと、意味がないという図。


「偶発性」でよい仕事をする派

最初に思い出したのはこれ。

優れた陶芸家は、最初は何をつくりたいのか自分でもわからず、まず泥をこね、ろくろをまわし、次第に自分でつくりたい物がわかってくる(ミンツバーグ、戦略クラフティング

私はどちらかというと、こちらの方法を多用する「偶発性派」だ。今回認識を改めた点を書く。偶発性派としての私も、プロセスや手順を定めることの重要性は理解しているつもりだった。ただ、毎回その場の状況を利用して、いい感じに良い結果を出すほうが、臨機応変でいいじゃないか、手順を定める工数があるなら、試行錯誤の量を増やそう!と漠然と考えていた。ホームベーカリーの例でわかるように、これらは両立できる。その場の状況を利用していい感じに結果を出す方法がわかったら、それを手順として記入しておけばよい(実際にはここから手順にしていくのが大変なのだが・・・)。

この誤解が生まれた理由を考えていた。「再現性派」の人達は、プロセスを修正した試行錯誤の内容を開示してくれない。結論として出てきた「再現性のあるプロセス」に価値があると考えているため、そちらを説明する人が多い。偶発性派の私は、最終的なプロセスよりも、試行錯誤のプロセスにヒントがあると考えていたため、「その説明なんか違うんだよな」となっていたのだろう。

質を重視する人が量に押しつぶされないためには、別の障害もある。

仕事自体は専門知識を問われるものなので、専門知識の「質」をあげるために頑張っている。でも成果を出すにはそれ以外の知識も必要。

最初の経理の例(単に私が面接したりしている観測範囲内だけの話なので話半分で)。

経理:会計処理の質をあげることを頑張りたい人は多い。企業の取引量が増えたときにどう対応するかを、自動化の知識やシステムの知識を新しく学んでまで向き合いたい人が多い印象はなかった。

他にも例を持ってきた。通訳。

通訳:通訳はもちろん会話を翻訳をするのが仕事。2カ国語をペラペラ喋る。優秀な通訳は例えばめちゃくちゃビジネスが詳しい人。パフォーマンスを決めるのは、話すコンテンツの方をどれだけ理解しているか、にかかっている。英語を喋れるから発注するわけじゃない。(引用元
弁護士:法務判断をし、法的な書面を作成するのが仕事。契約書を書いているにも関わらず、事業側がやろうとしていることのエッセンスを理解した上で、事業の意向を一つの法務文書にゴーストライティングしていく。すごい人は「みなまで言わんでもいい。後はこちらでやっておく。」的なカッコいいセリフを吐いて、勝手に論点をつぶし、検討をほぼ終わらせている。もはや法務の部分を超えて、事業側の論点の抜けすら一撃で刺してくる。(引用元
通信制高校のN高のカリキュラムの例:教材の製作とゲーミフィケーションの設計・開発の両方に長けた人材はほとんどいないため、「教材とゲーミフィケーションが密結合した状態でクオリティを上げることは、現実的に難しいでしょう」と川上氏は指摘する。(引用元

まとめ:自分の専門外のことを学び、「仕事の質を維持しながら量をこなす方法」を考える!

ここから半年はそれをやっていく。

・「仕事の質」の評価に再現性の要素を増やす。手順を定める。
・手順ごとに「自動化(?)」、量をこなす方法を調べる。
・自動化を検討した場合、手順を変える必要が出てくるので、そこで試行錯誤する
・この試行錯誤中に、「え?ここまで自分で学ぶ必要があるのか?」という分野も必要なら頑張って学ぶ

いまはこれぐらいしか見えてない。

これ以外にどうすればいいか、アイデアがあったらtwitterとかで教えてください!


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