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#02-紡ぎ出すということ。次の大きなジャンプのために。

その島から帰ってからも、朝起きると自然と裏切られていたことや、裏切られていた間に、その時は裏切られていたことを知らなかったけれども、交わしたやりとりなんかがふと浮かんで、あれは嘘だったんだなぁ、そんなことがさらっとできる人だったんだなぁ、びっくりだなぁ、と、そんなん狭い苦しい井戸のような中をこころが、頭の中が、ぐるぐるした。寝起きの、自分ではどうしようもコントロールできない瞬間に、タイマーで自動再生がセットされていたように、自然に湧いてくるものに苦しめられて、つらい朝が続いた。辛い時間は、素直に辛い。辛いけど、ゆっくりその辛い時間を抱きしめていきたい。いまは、時間が、いまの日常が、これから踏み出す一歩一歩が、これからの体験や経験が、すべて解決してくれると、こころから信じている。だから、つらい時間は、必要以上にはつらくなく、この先に絶対にあったかい光が差す楽しい日々がくる、と、その狭い井戸のような中を少し離れたところから覗き込んでいるもう一人の私が、本当にこころからそう信じていて、だから、いまをじっとしながら、いまの自分とゆっくりしっかり向き合うことができる。これまでの人生で一番どん底にいる自分と、時間を惜しまず、労力を惜しまずに向き合って、すべて抱きしめて、ぼちぼちと自分のペースで、そのときの気分で、前に進むことが、そうやって次のことに進んでいくことが、あとで振り返ったときに、本当の一番のショートカットだと信じて。
 母が、何気なく、でも何回か、ぽつんと、声をかけてくれた、「いまは、次のおっきいジャンプをするためにしゃがんでいるだけよ」と。あぁ、そっかぁ、と妙に納得して、あぁ、好きなだけしゃがみ込んでいていいんだなぁと思えた。心が少し軽くなった。

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