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同人誌の装丁覚え書き2016

2016年発行の同人誌の装丁まとめ。だいたい紙の話をしている。

ワイルドアットハート

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2016/06/19発行
●表紙
用紙:ミニッツGAスノーホワイト170kg
印刷:4Cオフセット
箔:ブラック
表紙2-3印刷あり(DIC255)
●本文
用紙:ソフトカラーもも90kg
印刷:オフセット色刷り(DIC255)
●遊び紙
用紙:タントセレクトTS-9(チェック)N-52(赤)100kg


エンボス系特殊紙に黒箔を押すっていうのをやりたくてやってみた本。
表紙の紙、ミニッツGAはキャンバスっぽい質感の特殊紙なんですが、箔を押したらその質感が箔に浮き出てかっこよくなるんじゃないかと思ったんですよね。

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結果はまあまあ狙い通り、でもよく見ないとわかんないなあ。
黒箔の面積を大きく取りたかったので、タイトルの主張が激しいです。箔のところだけぴかぴかしてカッコイイ。

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ミニッツGAを表紙に使ったのは初めてで、表紙のデザインとカラーをデータではかなりポップで明るめにしてたんですが、けっこうインク沈んだな~というイメージ。(まあ発色良くしたいなら特殊紙使うなという話ですが…)
色、わりとぼんやりしちゃった。次表紙に使うときは色選び気を付けようと思ったポイントです。
あとこれは備忘録ですが、ミニッツGAが表紙の紙は、積むと雪崩れる。この紙、めちゃくちゃ滑ります!!!(頒布しにくすぎて売り子に二度と使わないでって言われた)(でもまた使う)

表紙2-3は単色刷り。インクは紺(DIC255)です。

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表紙をキャラのパーソナルカラー赤と青でまとめたので、表2は青、遊び紙は赤、という流れにしたかった。

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この紙が可愛くて大好き。ポップでキュート!色のバリエーションがもうちょい明るめになったらいいな。

本文用紙はど~~してもピンク系にしたくて、印刷所の人に無理を言いました。(紙を探させた…)
このソフトカラーという紙は、日常ではよく封筒なんかに使われるやつです。薄くて丈夫。でも密度が高いので、重い。90kgの紙を採用したけども、1冊が薄いのにやたら重くて笑いました。本文用紙向きじゃなかったかもしれん…
画像だとピンクに見えないけどちゃんとピンク色です。

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で、インクは紺。赤系の紙に青系のインクで印刷したかったんです。あとわたしは本文を色インクで刷るのが大好きなのだ。
遊び紙は後ろにも挟んで、前と対になるように。表3も、表2では足元だったのを、ハッピーで終わったのが伝わるように横顔を持ってきてます。

このジャンルで刷る1冊目の同人誌だったので、かなり色にこだわってました。赤と青でまとめたくてしょうがなかったんだな。わかる。

印刷会社はSTAR BOOKSさん。
今は亡きオフセットオーダーメイドというプランを使っています。
https://www.starbooks.jp/
まあその項目が無くなっただけで、相談すればわりとなんでもやってくれると思う。入稿のしやすさダントツ。とてもいい印刷所です。

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キミはピンクノイズ

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2016/07/30発行
●基本
B5変形断裁
●表紙
用紙:エスプリVエンボスギフトライン180kg
印刷:4Cオフセット
●本文
用紙:白上質紙90kg
印刷:オフセット2色刷り(DIC641/DIC2002)
●遊び紙
なし

正方形断裁と本文2色刷りがやりたかった本。
本文の2色刷り原稿は作るのがめちゃくちゃ大変だと言われていたので、めちゃくちゃ警戒していたんですが、やってみたらまあこんなもんかという感じでした。
ハードルを上げすぎていた。
でも普段の原稿作業より格段に作業量が増える+原稿不備も増える+〆切が前倒しになる ので、警戒するにこしたことはありません。

表紙と本文のデザインに斜めのストライプを使ったので、それに合わせて斜めストライプが入ってるエンボス系特殊紙を採用。光に当てるとストライプが光ってカワイイ。エンボス系には珍しくエスプリVシリーズは紙自体に光沢があって、ちょっとした高級感も出る。表紙用紙として十分な厚みがあるのに柔らかい紙なので、本が読みやすいです。

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正方形断裁にしたので、「ギフトライン」の名前に沿って本自体がプレゼントっぽくなる。良い効果。

遊び紙はなしにしたんですが、本文が2色刷りのため、本文の1ページ目を遊び紙っぽくしてしまおうという魂胆。
青とピンクの斜めストライプをデザインして、遊び紙のかわりにしました。タイトルもさりげなく入れちゃう。かわいい。

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ただ本文用紙がちょっと薄めだったので、裏うつりしちゃったなという感じ。反省点。
白上質を選んだのは、2色刷りの色映えを意識してできるだけ白い紙がよかったから。久しぶりに使いましたが、こんなにキメの細かい紙だったかな~と思った。良い。

本文は漫画枠の上下にストライプ入れたりドットを入れたりしてデザインしました。かわいいのでは?と思って。かわいいです。

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紺とピンクの2色を選んだのは、青(紺)はこの作品の主線の色として使われてるからで、ピンクはキャラクターのパーソナルカラーだからです。キャラに色のイメージがあるとこういうところで遊べていいですね。
原稿作成はまあまあ大変でしたが、良い経験になった1冊です。本文2色刷り、本文が華やかになってかなりテンション上がるのでまたやりたい。

印刷会社は初心者に優しい栄光印刷さん。
https://www.eikou.com/
セットがいっぱいあってオプションも豊富。とても入稿しやすい。

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マツノエデュケーション

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2016/08/21発行
●基本
B5変形断裁
●表紙
用紙:コートカード紙180kg
加工:クリアPP
印刷:4Cオフセット+特色(ビビットピンク)
●本文
用紙:コミック紙ホワイト
印刷:オフセット色刷り(DIC153)
●遊び紙
用紙:ミランダばら

B6横長の本が作りたくて作った本。
B5を上下に断裁してB5サイズから2冊作るので、B5原稿用紙の上下に同じまんが貼っつけて原稿作ったのも奇妙な体験でしたが、思ってる2倍の数を刷られるのでそれをちゃんと意識して発注しないと過剰発注になっちゃうことに気づいた1冊です。(100冊で発注したら200冊納品されます)
でもB6の本はミニマムでめちゃカワイ~!のですごく良かった。

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表紙はスタンダードなコート紙にクリアPP。発色の良さと積んでも滑らないところが最高!やっぱこれだね。
背景のドピンクは特色の蛍光ピンクです。表紙にキャラを詰め込みましたが、半分は学生服なので色が地味ってことで、背景を蛍光色に。おかげでちゃんとキャラが浮いて良かった。

遊び紙はわたしが愛してやまないミランダ。ピンク統一のためばらを選択。

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メインキャラがピンクちゃんなので、本文もピンクの色刷り。けっこう強めのピンクで、ちょっと読みにくいかなと思いつつ、いい感じにポップな仕上がりになったんじゃないでしょうか。

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やっぱり本文色刷りは最高だぜ。最近同人誌買ってもあんま色刷り見ないので寂しい。
本文用紙のコミック紙ホワイトはたぶんハイバルギーのことだと思うんだけど、軽くて厚みのある、本当にコミック向きの紙です。ベタの乗りも良くて良い紙。

印刷会社は特殊加工なんでもござれのAXIS出版さん。
https://axis-publication.com/
なんでもできるが、入稿の仕方を早く楽にしてほしい。発注書をPDFじゃなくフォームにしてくれ。今すぐに。

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UNLUCKY SUKEBE!

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2016/11/06発行
●表紙
用紙:シャイナー雪120kg
印刷:4Cオフセット
●本文
用紙:コミック紙ピンク
印刷:オフセット墨刷り
●遊び紙
用紙:色上質中厚口ブルー

本文用紙にピンクの紙を使いたくて、セット内でデフォルトにコミック紙ピンクを選ばせてくれる印刷所で刷った本。
この本のこだわりはそこだけだったので、他をあまり凝りませんでした。

とはいえ、表紙にシャイナー雪はほんとうにすんごく可愛くて良かった。
この特殊紙、大き目の銀色のラメがちりばめられているキラ系の紙なのですが、柔らかい上に発色が良く、手触りも優しくて最高なのです。光にあてると降ってくる雪のような不揃いのラメがランダムに光ります。きれいで可愛い。

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紙の印象は上品めですが、ポップなデザインの表紙にもめちゃくちゃ映えて、なんか自然とオシャレになる。
再版しようと思って同じ仕様で発注したら、シャイナー雪の取り扱いが終わっていて泣いた。2版目はシェルリンになりました(シェルリンも好き)

遊び紙はシンプルに色上質、青系で。なぜなら本文用紙がピンクだからです。遊び紙は前後に挟んで、青で赤(本文用紙)をサンドする仕様に。推しカプ表現がそれくらいしかできなかった。

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本文用紙ピンクが本当に可愛くて大好き。金沢印刷さんは追加料金なしで選ばせてくれるから良心的です。
インクは墨ですが、2016年はずっと色刷りだったので逆に新鮮になりました。色刷りのこと好きだけど、墨刷りもやっぱいいよね…となる。

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印刷会社は金沢印刷さん。
https://www.kanazawa-p.co.jp/
あんまり凝ったことはできないけど、安くて親切で便利でパワフルな印刷所です。でも本文印刷の墨の濃淡にムラがあるイメージ。

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Needs must when the DEVIL drives.

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2016/12/29発行
●表紙
用紙:ミランダスノーホワイト170kg
印刷:4Cオフセット
箔:ホログラム箔ドットシルバー/ピンク
●本文
用紙:コミック紙ホワイト
印刷:オフセット色刷り(DIC433)
●遊び紙
用紙:トレーシングペーパー雪の結晶

AXISのオーナメント箔押しセットが使いたくて作った本。
本文とは全然全く1ミリも関係ないんだけど、発行時期がクリスマスに近かったからやたらクリスマスな感じになっている。

AXISのオーナメント箔押しは、AXIS側から提供されるオーナメントの形を選んで、それを決まった場所に箔押ししてもらえるサービス。この本の場合は、表紙上部のこれ。

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箔の種類もセット内に提示されているものから選べます。キラキラさせたかったのでホロ箔(ドットシルバー)を選択。
それとは別に、タイトルの一部にピンクで箔押し。成人指定本なのでピンクでもええじゃろげと思ったのです。

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ここまでキラキラさせたので、紙もキラキラさせるべきということで、表紙の紙はミランダスノーホワイトを採用。わたしは特殊紙の中でもミランダが本当に好きなんです。ミランダは両面キラキラなのがいいね。

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フルカラーで印刷するからこの本のときはスノーホワイトにしたけど、箔押すだけとかシルバーorホワイトインクのみで印刷するとかなら、ミランダあい・黒・セピア・しんくなんかの濃い色にすると、めちゃくちゃに映えてかっこいいです。それだけ存在感のあるファンシーペーパーなので、印刷するデザインはシンプルでも完全に成り立ってしまうというすごい紙。名刺やカードにするととても最高。大好き。

はい。何もかもキラキラにできて最高ですね。ただやっぱ特殊紙なので、インクの色は沈みがち。あとミランダは厚くて丈夫な紙ゆえに、少し硬くてめくり辛いです。

遊び紙は、これもAXISのオリジナルペーパーで、トレーシングペーパーに雪の結晶が銀インクで印刷されているもの。季節によっていろんなモチーフで提供されてます。

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ただ、トレペは湿気を含んで紙が伸びやすいので、遊び紙にすると断裁からはみ出すこともある。というか、クレーム入れるほどでもないかなと思ったけど、この本のとき1ミリくらいはみ出しててちょっと気になった。指にひっかかるんだよね…。
あと、ノドの部分でしわしわになりがち。使うときはきをつけよう。

本文は青系インクで色刷り。ほんと作画の粗が目立つほど高精細です。

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この本は完全に印刷所に頼った作りになりました。やってみたいと思わせたAXIS出版の勝ち。
https://axis-publication.com/
〆切のシビアさと仲良くできれば本当に良い印刷所です。

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2016年だけでこんな文字数になると思ってなかった。
6月から5冊も本出してるんだが。怖

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