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優しいあなたに

 優しい人には、あなたは優しい人だと伝えるようにしている。
 大抵、優しくないですよ〜とか本当は性格悪いですよ〜とかそんな言葉が返ってくるし、私も同じように言われたらきっとそう返してしまうと思う。だけど、優しさとは、他人が優しさだと感じたらそれで成立するものだと思う。

 どんな打算があろうと、腹でどんなことを考えていようと、そのことばを、行為を、受け取った人が優しいと思えばそれは優しさだ。そう思っているから、あなたの優しさが好きですと伝えることだけは、怠らないようにしている。打算にだって、偽善にだって、救われる人間はいるのだ。

 他人の好きなところを聞かれて「優しいところ」と答えるのは悪手だとよく言われるが、私は優しい人が好きだし、誰かを愛おしく思う理由は大抵その人の優しさにある。優しいところが好きだと、本気でそう思っている。

 優しい人が好きな私が、あなたは優しいと伝えること、愛でなくて何と呼ぼうか。友愛でも、恋愛でも、親愛でも、どんなかたちだとしても、この感情をそう呼べる。愛とは最上級の好意だ。随分と重い響きだけど、あなたが優しいと私が思えるのはそれくらいに素晴らしいことだと、そう伝わるならいくらでも愛と呼ぼうと思う。

 その生まれ持った優しさを、育ててきた優しさを、どうか卑下しないでほしい。あなたの優しさに救われている人間が確かにいることを、どうか忘れないでいてほしい。

 優しく、愛おしいあなたにこれを贈ります。おやすみなさい。良い夢が見られますように。

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