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日本社会におけるフィリピン女性の生き方

 このnoteは2020年8月23日に開催した”SDGsリレー生配信”のレポート記事です!10時間の配信中に行われた 10個の企画達。
ライターの方々が感想を交えながら1つ1つ振り返ってくださいます!

何を学び、何を感じたのか。

みなさんもぜひ、あなたにとってのSDGsを思い浮かべながらご覧ください!
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「ねぇお兄さん、今デート中?あとでウチの店に来なよ」

ある夜、街で友人らと楽しい夕食を終えたあとのことだ。男友達と私が二人歩いていると、耳にピアスをいくつも開けたお兄さんに話しかけられた。

「あ、僕ら未成年なんで」

そうやんわりと断ると、お兄さんは「間違えました、すみません」と去っていった。

その後、通りの向こう側の男性歩行者陣に話しかけていくお兄さんを見て、私たちは顔を見合わせ苦笑いをしてしまった。

「ホステスか、キャバクラかな?」

「どうだろ。でもびっくりしたというか、少し怖かったな」

「そうだね。一応、これから夜にこの通りは通らないようにしよう」

【日本社会におけるフィリピン女性の生き方】

講師:中島弘象先生  株式会社SEELS セサルV. サントヨ先生

皆さんこんにちは!私は静岡大学一年、上木美侑です。先日、SDGsリレー生配信「日本社会におけるフィリピン女性の生き方」に参加させていただき、なんと光栄なことにライターのお仕事までさせていただきました(#^.^#)

まずは今回の講義のまとめをし、そのあとに私の個人的な感想・意見を記載したいと思います。

ぜひ皆さんには、SDGsの目指す「持続可能な社会とは何か」を考えながら読み進めていってくださると嬉しいです。


1.中島弘象先生

まず最初にお話しをしてくださったのは、中島弘象(なかしまこうしょう)先生です。

中島先生は大学院時代にフィリピンパブ嬢の研究をし、当時の取材相手であったフィリピン女性の方と結婚なさいました。現在では会社員をしながらも、フリーで取材活動を行っており、2017年には『フィリピンパブ嬢の社会学』(新潮社)という本を出版なさっています。


2.日本のフィリピンパブで働く女性

 1991年の時点で、興行ビザを使ってやってくるフィリピン女性は4万人以上でした。興行ビザとは、歌手やダンサーなどの芸能活動を行う方が取得する在留ビザのことです。

2001年には約6万人、2004年には8万人と増加傾向にありましたが、2005年以降はガクッと減少することに(;゚Д゚)

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出典:https://www.kyodo.co.jp/intl-news/2020-02-27_2567802/

実は、興行ビザが人身売買の原因ではないかと考えられ、規制されるようになってしまったのです。よってフィリピンから日本へとやってくるルートにおいて、正規のルートで来ることができる人とできない人が出てきたのです。日本のフィリピンパブで働く女性たちは、正規でくることのできない人達であることが多い。


では、どのようなルートでやって来るのか?


中島先生のお話によると、彼女たちは自分たちがどういったルートで来たのかを尋ねても、なかなか話してくれなかったそう。

確かに、非正規のルートで来たのなら話したがらないのは当然です。しかし、中島先生はあるフィリピンパブ嬢の方から、お店の外でお話を聞くことができたのでした。

なんと、彼女は偽装結婚(日本で働くための結婚)でやって来たのです。

3回ほど日本人男性と会い、その間に出会い・交際スタート・結婚したという設定らしく、そういった話はブローカーが持ってくるそう。期間は約3年、休みは月に2回、外出の自由もない。月に約6万円ほどの給料であり、常にブローカーの監視がある。

もし日本で犯罪やトラブルに巻き込まれたとしても、そうした監視の目や偽装結婚をしているという後ろめたさから、「相談できない・助けを求めることもできない」といった状況に彼女たちはいるのです。

3.どうして彼女たちは日本にやってくるのか

 彼女たちの働く条件・状況は決して良いものとは言えませんね。日本はフィリピンから3072キロ離れた土地、日本語も彼女らが母国で使っているフィリピン語・英語とはかなり違います。そんな異国である日本に、どうして彼女たちは『偽装結婚』してまでやってくるのでしょうか。


彼女たちはフィリピンにいる家族のために日本に働きに来ているのです。母国での暮らしは、傾いた木造の家に住んでいたり、ガスや電気も十分とはいえません。そういった貧しい暮らしから抜け出したい、家族に楽をさせたいという思いから、彼女たちは日本にまでやってきて成功を目指して働いているのです。
働く国の候補は日本以外にも中東にあります。しかし、メイドとして中東へと働きに向かった女性が殺されてしまったという事例もあり、安全面から日本を選ぶ人々が多いのだそうです。もし日本で成功することができれば、フィリピンではメイドを雇えるまで生活の質が向上します。

中島先生はそうした状況下にいるフィリピンパブ嬢の話を聞いた際、「助けてあげたい。助けてあげようか」と思ったそうです。

困難な状況にいる人の話を聞いて、助けであげたいと思うのは自然なこと。私も「何かできることはないのか」と考えました。しかし、彼女はこう答えたそうです。

「大丈夫。自分の意志で来ているのだから同情してほしくない。」


このお話を聞いたとき、私ははっと気づかされました。

同情しているつもりもなく、ただ助けたいと思っていたとしても、心のどこかで私たちは「先進国・発展途上国」で線引きをしているのではないかと。

本当に彼女たちと同じ目線で問題を捉えられているのか。
重要なのは、”助けてあげる”のではなく、”助けたい”という気持ちではないか。

中島先生の「友達として”助ける”」という言葉が胸に強く残りました。

4.株式会社SEELS セサルV. サントヨ先生

 次にお話しをしてくださったのは、株式会社SEELSのセサル先生でした。SEELSではパブでの職業訓練を受けていないフィリピン人女性の就労サポートを行っており、フィリピン女性が自宅で子どもたちに英語を教えたり、ALTになるための手伝いをしているのです。トレーニングの提供をビジネスとして行っています。トレーニングの後、女性たちは子どもたちに英語を教えたり、SEELSに新しくやってくるフィリピン女性の方の支援などに取り組んでいます。

日本社会に生きるフィリピン女性にとって、サポートがあることは大変心強いものでしょう。しかし、問題点もいくつか存在しています。

一つ目は、ALTは派遣の契約であり、持続の心配があること。

二つ目は、ナイトクラブやフィリピンパブで働いていた経験がある場合、それらに対する偏見の目が、彼女たちの新しい働き場所に影響する場合があるということ。

まだまだ問題が残る中で、SEELSは活動しています。フィリピン女性は英語の先生になることで収入を得るだけでなく、安全な環境、そして自己肯定感も取り戻すことができます。

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出典:https://www.svptokyo.org/cases/seels/


5.まとめ

講師の方のお話を聞きながら、私はいつかの友人との会話を思い出しました。

「ねぇお兄さん、今デート中?あとでウチの店に来なよ」

ある夜、街で友人らと楽しい夕食を終えたあとのことです。男友達と私が二人歩いていると、耳にピアスをいくつも開けたお兄さんに話しかけられました。

「あ、僕ら未成年なんで」

そうやんわりと断ると、お兄さんは「間違えました、すみません」と去っていきました。その後、通りの向こう側の男性歩行者陣に話しかけていくお兄さんを見て、私たちは顔を見合わせ苦笑いをしたのを覚えています。

「ホステスか、キャバクラかな?」

「どうだろ。でもびっくりしたというか、少し怖かったな」

「そうだね。一応、これから夜にこの通りは通らないようにしよう」

夜のお店、夜の街という言葉に対して、私は少し「怖い」という印象があります。

私はそういったお店で働いたことも、足を踏み入れた経験もなければ、まだ未成年であるために飲酒の経験もありません。

夜の街は「自分の知らない世界」であり、
「自分には関係ない世界」だと考えていました。


しかし、自分の知らない世界であっても、そこには生きる人たちがいます。

私や、あなたと同じように、生きている人たちです。

彼らや彼女らのことは、あなたにとって本当に関係ないものでしょうか。

知らない世界だからと、本当に知らないままでよいのでしょうか。


SDGsの掲げる「持続可能な社会」では、全ての人が笑顔であってほしい。

多くの人・知識・生き方を知り、行動が変わり、

未来の世界が変わっていくのではないでしょうか。

知ることから、始めましょう。

全ての人が笑顔でいられる「持続可能な社会」を創るために。 

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こちらは配信の時のお写真✨

みなさんいかがだったでしょうか?
この記事を読んで、SDGsを考える時間がほんのちょっとでも増えたり、何かみなさんのアクションに繋がれば嬉しいです(^^)

貴重なお話をしていただいたのは、
文筆家の中島弘象さんと、SEELS株式会社のセサル ヴィ サントヨさんでした!

そして今回この記事を書いてくださったのは......
静岡大学 1年生の 上木美侑さんでした!
本当にありがとうございました!

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