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ピアノの蓋を “半開” にすることについて

録音しかり演奏会しかり、私はピアノの蓋(屋根)を半開にするのが好きではありません。なぜなら、鼻の詰まったような音に感じられるし、ピアニストが音色を正しく判断できなくなってしまう印象があるからです。

「ピアノがうるさすぎてバランスがとれないから半開にしよう」

とか、もっと乱暴な人は平気で

「伴奏だから半開にしてください」

と、それがまるで法律であるかのように言ったりもします。

もちろん、絶対にダメということではありません。ピアニストが優秀でも、ピアニスト以外が “聴く耳” を持っていなければ、半開にせざるを得ない場合もあるでしょう。見た目の問題で半開にすることもありますが、むしろ蓋を取り外してしまった方が良い結果につながると思います。

一流のピアニストは、蓋が全開でもバランスをとることができます。

なぜなら、音量以外でコントロールできるからです。

つまり、「音色」です。

蓋を半開にすると音色を殺してしまいかねず、結果としてより悪い方向に進んでしまう可能性があります。


「音量を抑えるために半開にする」

ぜひ、この常識をいったん手放してください(音楽大学で学んでいても “常識” と思っている人は多いような……)。「臭いものに蓋をする」ということわざがありますが、その演奏は臭いものですか?

勇気を出して全開にすれば、アンサンブルはもっと良くなるはずです。




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