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私は物心がついたときから浅草が好きだった。 幼い頃は、浅草に母方の祖父母が住んでいた。遊びに行く度、祖父が「散歩に行こう」と浅草寺に連れて行ってくれた。本堂の前にある常香炉まで行くと、必ず煙を頭や顔に擦り付け、「顔が良い美しい子なりますように、頭が良くなりますように、心が綺麗な子になりますようにねぇ」と願掛けをされた(効果があったかはさておき)。お参りをした後は仲見世を戻り、祖母の好物だった舟和の芋羊羹や亀十のどらやきなんかを買って帰った。 春には隅田川沿いが白くこ