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たった24年で世界はこんなにも変わったよ~小松未歩「My Destination...」

はじめに

こんにちは、2000年前後のbeing作品の歌詞の解釈について書いている「品川みく」です。今回は2月22日(水)22:30~23:30に開催予定の #MyDesNight に向けて小松未歩「My Destination...」(1999年)について書きます。

24年前の解釈:恋に夢中で自分に酔ってる主人公?

この曲には「世界中を変えてみたいの あなたを愛してくことで」なんて言葉も出てきます。けれど、本当に一人を愛することで世界が変わるなんてことがあるんだろうか、なんてこの曲を初めて聴いた24年前、1999年の私は思っていました。

もちろん、愛する人がいることで、自分にとっての世界の見え方は大きく変わります。あなたと一緒にいれば、他の人になんと言われようと自分にとっては幸せ。この曲に描かれているのは、そんな風に恋に夢中で半ば自分に酔っているような主人公でしょうか。

「私たちは間違ってるの?」
「誰もが責め立てることなど気にしない」
といった言葉からは、この二人の関係は周りから祝福されるようなものではなさそうな感じがします。

生まれ育った街を離れて、それでも二人強く生きていこうという決意。
その思いが「世界中を変えてみたいの」という気持ちに表れているのでしょうか。

現在の解釈:ひとりを愛していくことが本当に世界を変える

あれから24年。当時は認められていなかった愛の形を認める国が次々と現れてくるのを私は目にするようになります。

世界で初めて、オランダが同性婚を認めたのが2001年、その後、ベルギー、スペイン、カナダと年を経るごとに次々と同性婚を認める国が増えていきます。2023年現在、同性婚ができる国は30か国。先進国グループのG7で同性婚ができない国はついに日本を残すだけ。世界は、異性愛だけでなく、同性同士の愛も含め、愛で満たされようとしています。

「この世界を愛で満たす方法を探した」というMy Destination...に描かれた主人公はひょっとすると同性愛者で、手にした「片道切符」は航空券。二人は、自分たちの愛の形を認めてくれないこの国を飛び立っていったのかもしれません。

二人が向かう先は、同性同士でも式を挙げられる国。
そこでは「呼吸するくらい自然に」「永遠の愛を誓える」。
男女が結婚の誓いを立てるのと同じくらい自分たちも自然な光景として受け入れられ、「小さな町に響く鐘がすべてを迎えいれ」てくれるのでした。

同性婚をするために海外移住するカップルもそれなりの数がいるそう。
そして、「結婚」した二人が男女の夫婦と変わらずに社会生活を送っている国の様子が伝わるにつれ、少しずつ、社会が「多様な愛の形」を理解するようになっていくのです。

この主人公が同性愛者だったとすると、「世界中を変えてみたいの あなたを愛してくことで」という言葉は、決して大げさなものではありません。たった24年、1世代ほどの愛の力が世界を大きく動かしていっているのです。

愛の形は本当にいろいろ

本当に小松未歩がこんなことを考えてこの歌を書いたのかはわかりませんが、こういう解釈も良いんじゃないかなあ、なんて思います。

なんらかのセクシャルマイノリティにあたる人は人口の1割近く存在するようですが、これまでなかなか実感がありませんでした。2年前まで、数百人いる私の交友関係の中で、セクシャルマイノリティであることを打ち明けてくれた人は2人だけ。
けれど、あることをきっかけに長く付き合っていた友人が実はセクシャルマイノリティで、長らく悩みを抱えていたことを知り、当たり前のように傍にいる存在であることを意識してから、私に見える世界が大きく変わってきました。
 
それから2年間。新しくできた友人の1割近くは、私に、いわゆる「ストレート」以外のセクシャリティを打ち明けてくれています。いままで見えなかったことが見えるようになることで、いままで作れなかった信頼関係を作れるようになってきている気がします。
 

おわりに:2月22日をお楽しみに

2月22日(水)22:30~23:30に、この曲、「My Destination..,」の解釈を語り合うインターネットラジオをツイッターのスペースにて開催します。
ご都合がつかない方も後から1か月ほどは録音を聴くことができますのでご安心ください。もしちょうど都合がつく方は、ぜひリアルタイムで「#MyDesNight」をつぶやきながら参加いただけると嬉しいです。

それでは、また。お会いできる方は、22日に、よろしくお願いします。