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次の朝までは彼と私はひとつ~小松未歩「砂のしろ」

こんにちは、2000年前後のbeing作品の歌詞の解釈について書いている「品川みく」です。
今回は7月28日(金)22:30~23:30に開催予定の #すなの城ナイト に向けて小松未歩「砂のしろ」(2005年)について書きます。

「砂の城」のような脆い恋愛。
小松未歩に限ってまさか、と18年前のピュアだった(?)私は、そんな恋愛もあるのかなあなんて思っていましたが、よくよく考えてみると、この曲、やっぱり不倫の恋愛を描いた曲ですよね。


3度のサビで「砂のしろ」が出てきますが、局面が少しずつ変化しています。

1度目のサビは
「砂のしろのような運命に巻き込まれて
堪えてた涙がポロリこぼれ落ちた」。

好きになって付き合えたと思っていた相手は既婚者だった。
いつか崩れ去るしかない、ひとときばかりの幻。
なんでそんな「砂のしろ」のような運命に巻き込まれちゃったのだろう。
このときは、とにかく運命が恨めしく、
夏に活気づく海辺の町さえも嫌いに思えていました。

2度目のサビは
「砂のしろでもいいあなたと崩れ去るなら
本気で見た夢もここに埋めてくわ」。

彼は波に乗る海の男。
焼けた肌に凛々しい体は輝いて見えます。
嘘をつかれていても騙されていたことを分かっていても、
それでも、どうしても彼のことだけを追っている自分がいました。
次の朝までには波にさらわれてしまう「砂のしろ」でもいい。
今、この一夜だけは彼と私はひとつになっている。
その思いだけで、他の感情を沈めてしまうのでした。

3度目のサビは
「砂のしろを攫う 寄せては返す痛みに
堪えてた涙は溢れ とめられない」。

そして朝が来て、彼は去っていきました。
「砂のしろ」は崩れ去り、もう彼と二度と会えないことでしょう。
こうなることはわかっていたことだけれど、
気持ちはまだ崩れた「砂のしろ」の中にいます。


ちなみに、主人公は「今はまだ無理進めない」と歌っていますが、
「今は」と言ってるくらいなので、いずれ傷は癒えて次の恋愛に進めると思っています。

未歩さんが不倫をするとは考えたくないですが、もし、知らずのうちにそんな運命に巻き込まれてしまったとしても、
しっかりと自分の気持ちを呼び起こして、思い切り感傷に浸った後は、次の恋に向けてリカバリーできそうな気がしています。
小松未歩の歌は、「感情の消化(昇華)」。これは一つのキーワードじゃないかと思っています。

それでは、ご都合がつく方は、7月28日(金)22:30~23:30にお会いしましょう。