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あなたを思い続けるのはもう無理だと悟ったとき~小松未歩「恋心」

はじめに

こんにちは、2000年前後のbeing作品の歌詞の解釈について書いている「品川みく」です。今回は10月25日(火)22:30~23:30に開催予定の #恋心ナイト に向けて小松未歩「恋心」(2004年)について書きます。

私自身の解釈:すぐにいなくなる、あなたを待つのが辛くて

恋心を寄せながらも、興味があることがあればすぐ彼はそれを追いかけていなくなってしまう。私は「恋心」から名探偵コナンの蘭と新一のような関係を思い浮かべました。

アニメや漫画の「名探偵コナン」は劇中では1年ほどの時間しか経過しておらず、その間に何回も新一は蘭の前に姿を見せています。けれど、現実世界では「名探偵コナン」は連載開始から28年、放映開始から26年が経過。もしこれほどの長期にわたって、長らく姿を消してはまたふらっと現れて、を繰り返していたらどうでしょう。

さすがに20年以上は長すぎるとしても、5年、10年と待ち続けることはなかなかできることがではないと思うのです。

彼とは付き合ってもう10年ほど。正確に言うと、本当に付き合っているのかさえ自信がなくなってしまいます。彼が前に姿を消してからもう1年ほどが経ち、今度こそは別れよう、別々の道を生きようと心に決めた矢先、彼がふらっと現れたのでした。

「恋心」の歌い出しは、およそ1年ぶりの再会の後、「久しぶり、元気にしてた?」なんて声をかけられて、肩に手を回されたシーンから。別れようと心に決めていたのに、やっぱり肩に手をかけられて私の方を見つめてくれると嬉しい気持ちが蘇ってきて。「やっと忘れかけた恋心が溢れ出して」、このまま、またあなたに気持ちがなびいてしまいそうになります。

でも、だからと言って、このまま付き合いを続ければ、自分が辛くなることは目に見えています。自由に夢を追うあなたが好きだった。でも、あなたと一緒にいたい気持ちも強かった。二つの気持ちは両立できず、なんどその相克に苦しんだことでしょう。

「もう別れよう」と告げたとき、あなたは少し驚いたように黙り込んで、しばらく考え込んだ後、ちょっとだけ寂しそうな表情を見せながら「そっか、今までありがとうな」と優しく返してくれました。

それから1時間ほど、これまで付き合った10年ほどを振り返って二人で話しました。あれだけあなたを思って辛かった日々も、終わったと思うと懐かしく感じられます。一通り思い出を振り返ったあと、「それじゃ、お元気で、さようなら」とあなたが席を立ち、「だんんだん小さくなるのをただ見つめてるだけで」、「意地もはれないほど疲れ果てた恋心がなじりもせずいま去っていく」ことを実感するのでした。

他のメンバーの解釈から

#恋心ナイト  の開催に向けて、現時点までにnoteに解釈をまとめてくれたのは4人です。

ケセラセラさんは、憧れていた「あなた」と付き合うことができないがゆえに、2番目に好きだった人と付き合ったストーリーを思い浮かべました。

のりさんは、浮気で去っていき諦めていた彼との再会に不覚にも心が躍ってしまう様を描きました。

スリトンさんは、思いを伝えられないまま別れてしまった幼馴染と再会して蘇る恋心を連想しました。

花の砂時計さんは、別居中の夫婦がいよいよ離婚しようとするシーンを想像しました。

この中で、私が特に好きだったのは花の砂時計さんの解釈でした。

花の砂時計さんは、主人公の恋心を「恋心さん」という一つの人格のように捉えました。

“自尊心、自立心、猜疑心、依存心などなど。「私」のなかには色んな心が入り乱れています。 そんな心たちと同じく恋心さんは「私」の中にあり「私」が最後まで離婚に踏み切ずにいた、躊躇させていた心理です。それ以外の心理たちからしたら離婚しかないと結論付けていたなかで恋心さんだけが反対し続けた状態。恋心さんは「あなた」との婚姻を継続するうえでのさいごの砦として孤独に頑張ったわけです。しかし…。健闘むなしく「あなた」が離婚届を書き、the end。”

最後まで抵抗し続けた恋心が、ついに折れてしまう。「恋心さん」という、もう一人の登場人物がいるかのように想像したほうが、心の動きを捉えやすいように思っています。

おわりに:10/25をお楽しみに

 歌詞の解釈に正解はないですが、小松未歩の楽曲を長年愛してきたファンたちが作り込んだ楽曲のイメージをお互いに語り合い、楽曲の楽しみ方をさらに増やしていけることはとてもうれしいです。まだまだこの曲、私の知らない一面が残されているかも。まだまだ小松未歩に新しい見方があるかも。

放送は、10月25日(火)22:30~23:30。ご都合がつかない方も後から1か月ほどは録音を聴くことができますのでご安心ください。もしちょうど都合がつく方は、ぜひリアルタイムで「#楽園ナイト」をつぶやきながらご参加ください。

それでは、また。お会いできる方は、25日に、よろしくお願いします。