響けユーフォニアム3期考察      滝先生のオーディション選考基準の変化

麗奈は2回目のオーディションの滝の選考基準が変わってしまった事に気づいています(ちなみに一回目は実力本位です)。その上でこのことを部員に気づかれないよう自分が悪者(人から滝の狂信者と指さされても構わない)になってでも回りを言語統制しようとしています。なぜならこのことで部員が今までの滝まで疑い出すのが怖いのです。では変わってしまった滝の選考基準の内容はなんなのでしょうか。これはアニメでははっきり麗奈の口から表明されています。「滝の求める音をすばやく理解し(自分の色は出さず)それに合わせて吹く能力」です。これだって一見実力のひとつのようにも見えますが、麗奈はこの能力をうまい(=実力)というよりは勘がいいと評して両者は違うものと考えています。ではなぜ滝は今回この能力を選考基準にしたのでしょうか。この時期滝は迷っています(そもそもこの時期は繰り返して練習している途中で曲はまだ完成されていないのだから当然ですが)。だから時には朝令暮改にもなる位の指示の変更(試行錯誤)が必要な時期です。そんな時実力が同じなら求める音をすばやく理解しそれに合わせて吹いてくれる人(極端な言い方とするとロボットが得意な能力、または奏者を道具として扱ってしまう事)の方がやりやすいのです。ただ滝はコンクール勝つための音楽よりも自分の求める音楽があり本来はそれを優先したいようです。それが何かは明かされていませんがおそらく自分の音楽を押し付けるのではなく演奏者側から能動的に湧き上がる音色を拾い上げて音楽を作りたいと思っているのではないかと推測しています。それなら全員が音楽してる(音を楽しめる)からです。または、10話で久美子が滝に彼が目指す音楽がなにかと聞いた時、滝が答えた「皆さんの上達に結果が伴う音楽」だけで説明がつくものなのかもしれません。自分がやりたいのは皆さんの上達(奏者側の普段の努力・能力)に結果(全国金)が伴うよう手助けをしたいだけなのだ。だから自分の音楽(たとえそれがコンクールに有利な技術であっても)を押し付けて奏者を道具として扱いたくない。という事です。したがって滝もまた自分の選考基準が変わってしまっている事(一番やりたくなかった奏者を道具として扱ってしまう事)に負い目を感じていると推測します。ただ今は過渡期でコンクールまで時間もなく今年結果を出さなければという焦りもあるのでもっと技術があがるまでその悩みを部員にいちいち説明せず(建前は)実力主義で選んでいるから黙って自分についてきて欲しいという方針にして(葉月やすずめなど努力が報われたと喜ぶ信奉者も増えてきている)もう少し全員の底上げが出来たらあらためて自分の求める音楽に変えていこうと考えているのだと思います。それが合奏中橋本が「音を楽しむと書いて音楽」と言おうとしたら遮って自分からそれを言ったこと。そして橋本が「ホントにわかってる?」と聞くと即座にわかってますと答えたこと。遮って自分で言ったのは今の状態では一番言われたくない言葉、特に橋本からは言われたくないという気持ちから彼の言葉を遮ろうとして。「わかってますよ」と言ったのは本当はわかっていない(今の段階ではやれる見込みがついていない)がそう言ってしまうと部員が動揺すると思ったから。ちなみに「ホントにわかってる?」と言われて一瞬はっとしたのは、橋本の言葉を遮れば彼なら自分の苦悩はわかっているのでそれ以上ついてこないだろうと思っていたのにそういわれたので、えぐってくるなあ。という気持ちでしょう。(橋本もここで言わないと取り返しがつかなくなると感じていてそれだけ必死だった。)それを受けた滝はもう嘘をついてもここは収めるしかないと、にこやかな顔に戻って「わかってますよ」と返したのです。橋本もかわいそうと思ったかそれ以上突っ込むのをやめました。

追記
滝は妻が亡くなった後長い間ずっとふさぎ込んでいました。そしてある時ああこれって、自分は賽の河原で石を積んでいるようだなと思った。その瞬間、妻の言葉を思い出した。石じゃなくて人だよ。を。これが滝が教師になった理由でしょう。妻の思いを自分が継ごうと。であるなら、滝にとって人を道具扱いにするのは決して本意ではないはず。それは人を石として扱う事だから。二回目のオーディションの選考基準が滝にとって如何に不本意だったか、滝の心の中では「自分の求める音をすばやく理解しそれに合わせて吹く能力」は人を道具扱いする事であって、生徒達を選考基準するとして相応しい「実力」の範疇とは考えていない。という査証となりましょう。賽の河原の話を加える事でその事がはっきりしたのです。

さあ、それでは現在SNSを騒がせている久美子と真由の実力差はあるのでしょうか。結論から言うとありません。互角です。滝は葉月やつばめといった通常の生徒は実力で選んでいます。すずめの音量も、部員の一部はあれは実力ではなくコンクール受けを狙ったものだと言う者もいますが、滝はりっぱな実力(持って生まれた能力)として評価しています。(よく考えれば当たり前です。)しかしユーフォ2人は実力に差がない。だから安易に道具としてどちらが使いやすいかという選考基準に走ってしまったのです。そうは言ってもあの場面においてそれそのものは正しい選択です。関西は比較的楽に滝の思い描いたソリを届けることができました。だだそこに十分な説明がなかったのが問題なのです。選考基準がぶれていると思われる危惧が頭を掠め、そこまで生徒達を信じ切れなかったと言い換えてもいいかもしれません。

ここからは予想なのですが、次回12回は久美子と真由二人の再オーディションが行われる雰囲気です。真由は今まで「ソリ、変わろうか」と言っていたのに、11回で「ソリ、辞退するね」と言いました。久美子に黙って滝に直接頼みオーディションを辞退するつもりでしょう。それに対しそれを聞いた久美子が不戦勝で久美子に決まったソリの再オーディションを申し出るという流れでしょう。そしておそらく滝は選考を担当する審査員に久美子と真由を指名すると思います。この時滝は今度こそ「両者の実力は互角である。(だから実力差では選考できない)」と部員皆に言葉で宣言していただきたい。ではどうやって選考するのかというと、二人にどちらが吹きたいか、どちらに吹いてもらいたいか。それを今回の選考基準にしたい。と言うのでは。これは正しい選考基準です。なぜなら両者が実力で互角なら吹きたい方が吹くのがFairだから。北宇治の面々が上手くなりたいと猛練習をしてきたのは本番で吹きたい(特別になりたい)こそ原点だから。もともと真由は久美子に譲りたい、久美子は吹きたいのだから結果は自ずと久美子で決まります。

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