見出し画像

コロナで変わるお酒の習慣

といった趣旨の記事がお馴染みHop Cultureにありました。

新型コロナで変わった飲酒習慣5選、とでもいったところでしょうか。挙げられていたのは以下の5項目。

1. People Drank Less Beer Overall
2. And Yet People Drank More Beer!
3. People Tried New Drinks
4. Breweries Took a Dive
5. Hard Seltzer Rose, Then Fell…Hard

それぞれの抄訳ついでに個人的に思うところを述べてみましょう。原文はアメリカの事例ですので、日本より行動規制が厳格であったケースを含んでいます。

1.ビールを飲まなくなった

ビールを含む飲酒量が全般に減った。あるいはノンアルを選ぶようになった。ひとつには、ストレスフルな状況でアルコールのネガティブな面がクローズアップされたとのこと。或いは単純にバーやブルワリーが閉まってしまい樽生を味わう場がなくなってしまったから。飲食店再開後でもコロナ前より呑む量が減った客が散見されるという声も。

もしあなたが「お店ではお酒を飲むけど家ではあまり飲まない」というタイプであれば、自粛期間中の飲酒量はかなり減ったのではないでしょうか。どちらでも飲む筆者には無縁の話でありますが…。

2.いや、ビールは増えた

やっぱりビールが好き、ということで飲酒量は全般に減ったがビールの消費量は維持あるいは増えた。ビールはカジュアルなお酒であり、ワインやカクテルに比べて手間がかからず手軽に飲めるもの。更に、ブルワリーが小売にシフトしたりデリバリーサービスにより、家飲みしやすくなったことも理由。

付き合い酒がなくなったり、何となく飲みに行く機会が減ったりした結果、ビールを選ぶ割合が増えたというケースは考えられるでしょう。能動的お酒選びとでもいいましょうか。反対にビールを離脱した人々もいることでしょう。

3.他のお酒を試してみる

おうち時間でビール以外のお酒にトライ。カクテル作りに目覚めてみたり。良いバーボンがあれば道具も要らずに楽しめる。

バーボンが登場するのがアメリカらしいですね。海外ドラマなんか観てると、ウィスキー類ってダメなアル中の必須アイテム的に扱われてますがそのへんどうなんでしょうか…。

4.ブルワリーに大ダメージ

原文で紹介されているHermitage Brewingでは、以前は全体の6割を占めていたケグの売上がほぼゼロに。缶の売上は伸びたものの失ったものを取り返すほどではなかった様子。平時にワークしていたチャネルが有事にシャットダウンしてクラフトビールビジネスが苦しんだ、と。

客観的なデータ等は手元にないんですが、国内ブルワリーにも甚大な影響があったことは想像に難くありません。大手メーカーも飲食店向けのビールを缶売りするに至ったわけですし。行き場をなくしたケグ詰めビールを蒸留してジンにするという挑戦もありましたね。

5.ハードセルツァーの台頭と失速

台頭著しいハードセルツァー。店頭のクラフトビールの棚の一部がセルツァーに奪われ、結果としてオフプレミス領域の成長が難しくなった。大手メーカーでもセルツァーで苦戦しており、中小規模のブルワリーにも影響が及ぶことは想像に難くない。

オフプレミスというのはお店の外で消費する、持ち帰り、といった考え方。この文脈においてはボトルや缶売りと捉えればよろしいかと思います。NielsenIQのデータを引用した記事によると、ハードセルツァー市場は2021年7月までに51%成長していたようです。

足元ではその成長モメンタムを維持できなくなっている模様。ハードセルツァーにも参入している大手、Boston Beerのプレスリリースを見てみますと、"slower than anticipated hard seltzer growth"や"The unexpected rapid slowdown of hard seltzer category growth"などの言葉が見られるとおり、ハードセルツァー市場の見通しをやや楽観しすぎていた様子が伺えます。原文の"Fell Hard"という表現はやや言い過ぎというか洒落に走り過ぎな印象ですが、その勢いに陰りが見えているのは確かなよう。

ハードセルツァーにはアサヒやオリオン、コカコーラなどが参入してきており、国内ではいよいよこれからといった印象の商品カテゴリー。ただし酎ハイという強力なライバルが既に存在しており、行く末が気になるところです。

日本ではワクチンの接種率7割を超え徐々に日常を取り戻しつつありますが、引き続き感染対策でご安全に。それでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?