私はスラムダンクが好きだ。

さんざん「私は推しについて語れない」と喚いてぐずぐずとした気持ちを引きずりまわしたあと、ようやく落ち着いた。
なんか、もう、疲れたなぁって。

たとえ二次創作ができなくても、推しについて言葉を駆使して語れなくても、私がスラムダンクを好きであることに嘘偽りはないんだと思う。

連載が終わり、公式からのグッズが頻繁に出るわけでもなく、二次創作で活動していたサイトのほとんどが今や倉庫化している。
そんなジャンルに、私はもう数年入り浸っている。それが何よりの証拠では?
もともと飽き性の私は、ジャンルの変動が少し激しい。旬ジャンルを渡り歩くわけではないが、こんなにも長く居続けたジャンルも他にない。と、思う。

スラムダンクには、ギリギリ10代の時にハマった。
その時、世間は『黒子のバスケ』一色だった。
唯一のオタク友達2人ももれなく黒子のバスケにハマっていた。スラムダンク好きの私は何となく居心地が悪かった。正直に言うとね。

次々発売されるグッズ。ガチャガチャの種類だって多かった。
キャラソンも出る。アニメのクオリティも高い。
pixivにも二次創作が溢れていた。半端ない賑わい方だった。

羨ましかった。
友達が黒子のバスケについて語っているのを側で聞いていた。聞くことしかできなかった。話についていけなくて。
それでも、私はスラムダンクが好きだった。
おそらく半分は意地だったように思う。絶対好きでいてやるからな!っていう。

そんな時、湘北高校のフィギュアの発売が続々と決まっていった。
私はそれがとても嬉しかった。
原作者の先生もTシャツやタオル、バッジを販売してくれている。
何もないより有り難いと心の中で何度も拝んだ。
井上先生のとこで販売してくれているTシャツ、超着心地いいの。肌触りが柔らかい。

Twitterでもいつも壁打ちだった。
フォロワーはいた。スラムダンク好きですっていう方達。同じカップリングを好きな方もいた。
でも、壁打ちだった。

今はね、その頃と比べ物にならないくらい賑わっている。
「旬ジャンルかよ…」って驚いてた人もいた。
そうだね、凄いね。嬉しいよ。私は、スラムダンクが好きな人がこんなにもいることが、何よりも嬉しい。

まるで面倒くさいオタクの話になってしまったけど、そのジャンルに長く居続けてることを威張っているわけじゃない。
なんていえばいいのかな…。感慨深い?
それに、堂々と胸を張って「スラムダンクが好きだ」と言っていいんじゃないか私よ、って言える材料集め。

私は確かに推しについて語ることができない。
絵を描けるわけでも小説を書けるわけでもない。
考察もできない。妄想だって一生懸命ちびりちびりと捻り出している。

それでも、そんな私でも、「スラムダンクが好きです」と胸を張りたい。

「好き」を形にして表現することが出来なくても、好きなんだと自信を持って言えるようになりたい。
私はこの作品のこと、自分で思っているよりももっと好きなんだよって、自分自身を認めてやりたい。
「本当は好きじゃないんだろ!!」って叫ぶもう一人の自分に「うるせーな」と言ってやりたい。

「好き」の形は人それぞれで、「好き」への向き合い方も人それぞれだと思う。
周りがこうだから、他人はああやってるから、だから自分もそうであらねばならないって、そういう考え方はやめにしなきゃいかん。

そう思った朝でした。おしまい。