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ダークファンタジー小説 奈落の王

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ダークファンタジーの小説、「奈落の王」のまとめ記事です。
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#兄妹

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その三十 わらわら、わらわら。

右からも左からも、そして正面からも規則的に聞こえてくる、太鼓の音。 それは低く、うねりを…

燈夜(燈耶)
8か月前
3

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その二十九 一難去って。

砦の門前で、未だに争いは続いている。 喧騒と、叫び吠えと雄叫びが、とめどなく聞こえてくる…

燈夜(燈耶)
8か月前
2

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その二十八 森の中で、光と闇に出会…

暗き森。 その森にたたずむ者がいる。 森に生き、森に住み、森を命の糧としてきた生き物が。 …

燈夜(燈耶)
9か月前
6

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その二十六 急使

──ッシュ! 窓から首を出した一人、ロランは風の音を聞く。 「危ない!」 と、隣のタスク…

燈夜(燈耶)
9か月前

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その二十五 犬頭の軍勢。迫る妖魔。

アリアがいる地下へと向かおうとした、銀仮面卿ことロランとタスクラン公子に、砦の兵士が急報…

燈夜(燈耶)
9か月前
1

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その二十四 帰り道

二人の男、銀仮面ことロランとハルフレッド公子の兄であるタスクラン公子が水晶球の中で動き回…

燈夜(燈耶)
9か月前
1

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その十九 前線の伯爵公子。そして砦に入城する銀仮面卿

何人が人数を減らすことになったロラン達一行の前に、辺境伯の城に負けず劣らずの石壁とそれを覆う蔦に囲まれた、ずっしりとした石造りの砦が現れた。 屋上には見張り台がさらに増設されて、肉眼か魔術なのかはわからないが、物見らしき塔がある。 そしてその塔には三人、片手剣を腰につるしている他、弓や弩弓を持った兵士がいる。兵士の鎧はおそらく煮固めた革で、軽いなりにそれ相応の硬度を持つ品と見受けられた。  ロラン──銀仮面卿の一行を見、いつもの輸送隊であると気が緩みかけたところで、彼ら物

(ダークファンタジー) 奈落の王   その十五 銀仮面卿の初仕事

そして次の日の朝。 ロランの部屋にハルフレッドがやってきて、言うのだ。 そう、何度も言う…

燈夜(燈耶)
9か月前
1

(ダークファンタジー) 奈落の王   その十四 伯爵公子閣下の望み

 ハルフレッドのテンションはまだまだ上がる。 ロランはそんな彼……実質的な主人の……姿と…

燈夜(燈耶)
9か月前

(ダークファンタジー) 奈落の王   その十三 銀仮面卿と伯爵公子閣下の密談

 石造りの部屋。『銀仮面卿』ことロランにあてがわれた一室だ。 今ここに、影ではなく表、つ…

燈夜(燈耶)
10か月前
1

(ダークファンタジー) 奈落の王   その十二 居場所の代償

アリアはお日様の光を手を上げて防ぐ。 城内から出て城の中央、庭に向かっているのだ。 そう…

燈夜(燈耶)
10か月前

(ダークファンタジー) 奈落の王   その十 人間の価値

石造りの広い部屋である。 窓にも蔦の緑が這っている。 そこからは緑の香りのする涼しげな風が…

燈夜(燈耶)
10か月前
3

(ダークファンタジー) 奈落の王   その九 それぞれの学び。それはまるで別世界

アリアは膨大な木製の食器を前に、頭を抱えていた。 洗うには水がいる。 でも水は井戸から汲ま…

燈夜(燈耶)
10か月前
1

(ダークファンタジー) 奈落の王   その八 辺境伯の城

兄妹が貴族ハルフレッドに導かれ、彼の城塞で暮らし始めて三日がたつ。 ロランの妹、アリアは作業衣……すなわちお下がりの黒のメイド服に白いエプロンドレスといった姿に着替えさせられ、掃除を習っていた。 「ふへー」 箒を手に、アリアは間抜けな声を出す。 家の掃除などしたこともなかった。 いや、そもそも掃除する家らしき家もなかったのだ。 いや、自分の体を清潔にすることから、アリアと恐らく同年代のメイド、金髪のローラらの手で体験したのだが。 それはともかくアリアは、一通り仕事を仕