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ドブ記4:2 苦痛のレバー

 子供の頃は嫌いな食べ物色々あったけど、最近は食べられないものはほとんどなくなってきて、いまだに食えないのはレバーくらいかという感じになってきた。
 ゴーヤーとかも不味いので嫌いだが(苦味が無いタイプなら平気)、まぁ出されれば表情を変えずに食うくらいはできる。

 しかしレバーは不味すぎて吐きそうになる。
 だが、さいきんダイエットやら、栄養気にしたりとかしているため、鉄分のために食うことが増えてきた。

 鉄分、食品からだと実質的にレバーでしか取れないのが腹立つ。
 食べものの好き嫌いに関しては、栄養素がちゃんと取れるならべつにいいんじゃないの、と思う派だ。
 たとえば野菜がすべて食べられない、とかならちょっと頑張った方が良いと思うけど、ニンジンだけ食えないとかだったら、その栄養素を他の野菜でとればいいのだ。
 しかし鉄分はそうもいかず、レバーの含有量が群を抜きすぎていて完全な市場独占、レバー以外には実質的に含まれていない状態である。

 というわけでなんとか食おうと思って鶏レバー串をがんばった。

 まずい、とにかくまずい。人間の食い物ではない。

 もともと内臓部位全般が苦手だったが、焼肉屋などで何度か食べたりするうちに慣れてきて、砂肝、ギアラ、センマイとかは喜んで食べるようになったし、シロコロとかは特に好きと言うほどではないが何の違和感もなく食える。
 しかし、レバーはダメだ。なんでこんなにまずいのだろう。奇妙な、えぐい、異常な、いかがわしい、名状しがたい、人間がその全貌を知れば正気ではいられない宇宙的な恐怖の深淵に関するほのめかしのような、味がする。

 鉄分のためにはそうも言ってられないので、タレやらゴマやら薬味を大量に吹っかけて、なるべく奥歯に物質が残らないためにあまり強く噛まないようにしつつ、牛乳で流し込んで、すぐさま別の食べ物で味を上書きする、などの努力でしのいでいる。

 そして、まだやってないのだが、レバーペーストをオブラートで包んで飲むのが正解かもしれない。

 そこまでするか、人間。

金くれ