【ダンジョン潜り】 (14) ~穢れの地~
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我ら徒党はここで一時休息することとし、私も壁際に身を横たえた。
皆思い思いに伏せたり雑談していたが、ガイオは二、三度ほど、はじめに私たちが入ってきたドアを開けて外を確認した。
何をしているのか私が問うと、彼は答えた。
「魔物が湧いていないか一応見ているんだ。ティラの光を受けている廊下はいいとして、ここだけはな」
通った通路は全て確認しているはずだがと私は思ったが、彼の説明するところによれば魔物は新たに "湧く" ものらしい。
そして、その魔物の出現は常に私たちのような探索者の見ていないところで起こるのだという。
ガイオはつづける。
「貴殿は、不思議に思わなかったか? 俺たちが通ってきたあの扉はガッチリと施錠されていたし、埃が積もり、蝶番も固まっていた。俺たちより前にここに誰も潜らなかったと思うか? こんなにリインの町から近い場所に...」
言われてみれば確かにその通りである。
「ダンジョンとは、そういうものなんだよ。巨獣や魔物はいつの間にか湧くし、開けたドアは閉まる。たまにだが部屋が無くなったり、道や建物の構造が変わるし、そもそもダンジョン自体が無くなったり、現れたりもする」
ガイオはそういって私の顔を見てから、立ち上がってドアに近づくと向こう側に耳を澄ませ、また私の横に戻ってきた。
「この地は確かに穢れている。貴殿もいろいろ噂は聞いていただろう。そういう噂はただの伝説ではなくて、確かに古代の戦の呪いが、この地にはかかっているんだ」
「エンシの呪い、か?」
「エンシはリイン山地のさらに奥深く、"山の光の山" をはるかに越えた、日のとどかぬ深い谷間に常闇の世界への入り口を作り、逃げたと言われている。神話の細部はともかくも、この地には明らかに不可思議な力が働いているんだ、今もな」
「とんでもない所に来たな」
「慣れるさ。それに貴殿のような術士には願ってもない環境だよ。高価な術具なんか持たなくとも、そこら中にマナが充満している。火の玉も雷も、ちょっと休めば撃ち放題だ。もっとも俺にはわからんがな」
ガイオはそう言って笑った。
そんな私たち二人の話を聞いてか聞かずか、目を瞑っていたリドレイがすっと体を起こし、呼びかけた。
「行こう。尻に根が生える」
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ガイオ 戦士 ○
ジョセフィン 戦士 ○
リドレイ プリースト ○
ぼるぞい 魔法戦士 ○
キザシ 盗賊 ○
テレトハ メイジ ○
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金くれ