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ドブ記2:2 ウィンジョブと痛烈なキック

 紐靴が好きじゃないっていう話で。

 アシックスのウィンジョブっていうスニーカーが好きなんですよ。

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 ↑これなんですけど。

 見た目が順当にダサいのはおいといて。
 なんで好きかっていうと、きっかけは数年前に、大人になってからはじめてディズニーランドに行くっていうことになって(この話はまた書きます)、ちゃんと歩けるスニーカー買った方がいいと言われて、古着屋でこの写真の真ん中のやつを見つけたんですね。
 オレンジ色が好きだし、サイズも合ったからいいかな、ということで購入。

 結果、めちゃくちゃ歩きやすかった。ディズニーシーをウロウロウロウロしまくって、脚はいたくなったものの、足の方はまったくで。最高だ!と。

 で、気に入ったので調べたら、アシックスのウィンジョブという作業靴であるということ。通勤とかなんでもない用のために黒いのも購入。
 この靴、ソールも頑丈なのかぜんぜん磨耗しません。

👟

 さて、ある時、通勤で黒いウィンジョブを履いて、歩いておりました。
 駅を出てテクテクと歩いていると、斜め後ろから3,40代くらいの女性が急ぎ足でサッと僕の前に出てきました。人混みを縫うように速足で歩いていたようです。
 急に出てきたので避けられず、女性の足の後ろを、軽く蹴ってしまいました。コツン。

 すると、女性は、そのまま歩きつつも振り返り、僕を凝視してきました。その顔は苦痛と恐怖に歪んだような顔で、信じられないことが起こったとでもいうような印象的な表情でした。

 僕が女性を蹴ってしまったのは事実ですが、そもそも通勤ラッシュの群衆の中をそんなスピードで縫っていたら、人に当たるのは当たり前です。そんなことが予想できないわけもありません。
 彼女はなぜ、あんなに恐ろしげな顔をしたのでしょうか。不思議だなと思いました。

 なんとなくこのことは心に残っていて、そしてある時、気づいたのです。
 我らがウィンジョブは、安全靴なのです。爪先に芯が入っています。鉄ではなく樹脂の芯なので軽く、突っかかったりもしないので歩いていてまったく気になりません。

 しかし、安全靴なのです。何かにぶつかったとき、僕の足にはあまり衝撃がきません。鉄のポールなどを蹴っても、足全体がしびれるように振動するだけで、指は痛みません。

 僕が女性を蹴ったとき、多少コツンという感じがありました。恐らくこのときの、もとの衝撃自体は ガン くらいだったのでしょう。ウィンジョブ防御パワーにより、僕の足には コツン くらいがかろうじて届き、安全靴のハードな爪先が当たった女性にとっては ガツンッ くらいはあったのかもしれません。
 僕がわざと蹴ってきたくらいの威力はあったのだろうと思います。恐怖に歪んだ顔の真相は、恐らくそれなのでしょう。

 謎の真相が解明され、めちゃくちゃすっきりしました。

 アシックス ウィンジョブよ、これからも僕の足を守ってください。

金くれ