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毛糸のパンツ 【恋愛エッセイ】

内館牧子は現在、74歳。脚本家、作家、作詞家で生涯、未婚。
ずいぶんと昔、「将棋世界」という雑誌で、連載コラム「月夜の駒音」を書いていた。僕にとって、忘れられない記事がある。

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内館牧子と仲が良かった男性が部屋で二人きりで居た夜のこと。
妖しい雰囲気となり、彼女も意識した。
そこで、「ハッ」とする。
毛糸のパンツを履いている! 寒い季節であった。
男性が肩を抱いたとき、恥ずかしい思いで強く抵抗した。
裸を見られることより、毛糸のパンツを見られる方が恥ずかったのである。
抵抗したので、何事もなかった。
その後、その男性と気まずくなり、会話は減っていき、会うこともなくなった。そのことが、何十年経っても忘れられないという。
私の人生は、毛糸のパンツで変わってしまったと。

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内館牧子といえば、お世辞でも綺麗、かわいいと言えない。
不思議なのが、なぜ、この男性が彼女に手を出そうとしたのか。
気が強いし、遊びで済む相手でないのは、わかるだろうに。
好きだったのか。それなら付き合ってからにすれば、良いものを。
酔っ払って、魔が差したのか。
もし、手を出して、そのまま押し切られて結婚すれば、男性にとっても忘れられない夜になったに違いない。

毛糸のパンツ問題は、男女の感覚の違いか。
男にとって、裸になる前の女性の下着の種類なんて、気にしない人が大半ではないか。
一応、セクシーやら可愛いだのと言っても、そのあとの前振りでしかない。
男は、パンティの淵にあるフリルの存在がよくわからないのである。

内館牧子の本は、恋愛関連や夫婦もの(義務と演技、週末婚)が意外と多い。彼女は過去に浮いた話など、いくら調べてもないのに。
よく書けたなぁと思うし、取材をたくさんしたとはあるが想像を膨らまして描いたのか。それにしても、彼女の恋愛本の評価は高いものが多い。

毛糸のパンツのことをずっと覚えているような人だから、恋愛について何かと敏感、繊細で評価が高い要因でもあるのかな。
結果論ではあるけど、そのあとの成功のことを考えると毛糸のパンツを履いていて正解だったのか。いや、結婚しても関係なかったか。
実は、内館牧子も20代前半は恋愛が盛んだったのか。
(あとで調べて、彼女の20代前半の写真を見ると可愛かったのでびっくりした。男性の気持ちがわからなくもないと訂正しておきます)

ふと、我に返って、内館牧子で恋愛のことを考える自分は変な感じがした。
もう止めておこう。失礼なこといっぱい書いてるし。
人の恋愛なんて、本人でないと、わからないことが多いですものね。



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