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ピカロマ創作ルール「ケッセン判定」で最終決戦を演出しろ

 よお、全国30億人の悪党の皆さま。俺だ、シゴロだ。
 俺は主に文章上にのみ存在する非常に頭のいい高度に知的な生命体で、いつもTRPGをしたり、酒を飲んだり、映画を見たりしている。それ以外は何もしていない。
 だが、今回は例外として記事を書く。なぜならそれは、最終決戦のためだ。
 今回は、ピカレスクロマンTRPGシナリオにおいて『最後の最後、物語の〆となる闘い』のための判定を提案する。
 長々と書くが要点は短いので、能書きを読む気がない人間は下のほうの「ケッセン判定は~」に飛べ。お前に俺のインストラクションは必要ない。一人で強くなれ。

最後があっさりとなりがち

 ピカレスクロマンTRPGは、とてもよくできたシステムだ。
 PvPvGMとはよく言ったもので、判定は分かりやすく、程よく駆け引きがあり、ゲームの勝敗も一目瞭然。しかもプレイヤー同士のヘイトがたまりづらいので、サクサクとなん度でも楽しむことができる。
 だが一方で、シノビガミやインセインとかにあるような、最後の最後に行う山場の判定とシーンが無い。そのためシナリオの終わりがあっさりしてしまいがちだ。多くのシナリオ製作者がこの課題に立ち向かい、そして、今だ立ち向かっている。

  まぁ、渋い悪党たちが、陰鬱な世界観で仕手戦とかを打ちながら駆け引きを行ったりする……福本漫画みたいなシナリオならそれでかまわない。むしろ、最後の最後まで息をひそめていた奴が大儲けし、高級ホテルで女とドン・ペリ片手にほくそ笑む……money……みたいな演出が映えるし、その方がいい。
 しかし、そんなシナリオばっかりやっていると作画段階で鼻と顎が伸びてしょうがないので、やっぱり「銃バンバン」「アチョー」「おげぇ!」「スプラッタ!」とかのブラックラグーンみたいなシナリオもやりたくなる。
 だから俺はそんなシナリオを書いていた。
 それは、仲間だと思っていたやつが実は黒幕で、キャラクターは一人それに気づき、罠と知りながらも最後の戦いに赴く……強い悪党同士の本物の命の取り合い、生きるか死ぬか……do or die。そんなラストシーン。
 最高に熱い描写を書き終え、いざ闘いが始まる直前、俺の指は止まった。
「持ってくる判定が……ない!」
 ……交渉でどうこうなる話ではないし、達成値の比べ合いはあまりにもさっぱりしすぎている。であれば、コロシ判定が最も適切……だが、コロシ判定にも問題があった。
 それは、場合によっては何もできずに片方が死ぬ、ということだ。コロシ判定には達成値の決定という駆け引きがあるのは重々承知しているが、数時間のシナリオを駆け抜け、細い細い糸を渡ってきたキャラクターたちに行わせるには、あまりにも「4分の1で終わる」判定はゲーム味……そう、ゲーム味が足りないように感じた。
 勝とうが負けようが、どうせならダイスを降りたいのがプレイヤーの本音だ。「マジにNPCと戦ってますよ!」「銃弾が頬をかすめ肉を吹き飛ばしていくようなギリギリの勝負なんですよ!」という、そんな演出に合致する判定は、ルルブをページがはがれるまで探し回っても、見つからなかった。(このシステムの物理版ルルブはいとも容易にページが剥がれる)

 だから、作ることにした。
 

『ケッセン判定』は駆け引きありの三戦勝負

 そして作られ、今回提案するのが『ケッセン判定』だ。
 名前がカタカナなのは、コロシ判定の流れを組むからだ。あと、この判定はNPCやキャラクターの生死を分けるマジに『血が流れる戦い』であり、『物語の最終決戦』の際に行われる。そういうことを想定しているからである。
 よってシナリオの中で何度も頻繁に行うことは推奨しない。処理も重いしな。本当の本当に最後の一撃、ジョーカーの裏効果でめっちゃ強い設定のNPCと戦うときとかに採用するといいだろう。
 処理は以下のようになる。

①能動側(キャラクターが望ましい)と受動側(主にNPC)に分かれる。
                 ↓
②コロシ判定の基準値決定と同様の手段で基準値を決定する。ただし、この際、能動側と受動側はそれぞれ二つの基準値を決定する
                 ↓
③能動側の用意した基準値二つが、両方とも受動側に予測されていた場合は、以降の判定を行わず受動側の勝利となる。どちらか片方でも予測を外すことができていれば、以降の判定を行う
                 ↓
④決定された二つの基準値を用い、2回達成値の比べ合いを行う。(例:決定された基準値が暴力、色香なら、暴力でお互いに振り、その後色香でお互いに振る)この際、能動側と受動側のいずれかが2回とも勝利した場合、そちらが勝者となる。引き分けている場合、最後の判定を行う。
                 ↓
⑤決定された基準値二つの値を足したものを基準値として、お互いに4d6のダイスを振り、達成値の比べ合いを行う(ムービースターなど特殊な判定方法の場合も判定2回分振る)この判定に勝利したものは勝者となる。

 ※最多で三回の判定を行うが、それぞれの判定ごとに通常の財積み、同盟破棄、スキルの発動が可能である。しかし、原則、ケッセン判定中、三回の判定の間を1サイクルとし、1サイクルに一度などの制約があるスキルはケッセン判定中一度しか使用することができない。
 これはこの判定を行っているシーンが非常に短い間の駆け引きで構築されているからである。

 実際の描写としては、
「君は一度目の判定に勝利したが、二度目の判定には失敗した。
 君が握るリボルバーから放たれた銃弾が、相手の銃を弾き飛ばす。しかし同時に、相手は身を低く屈め君に突進してくる。君はそれを避けることができず、強く突き飛ばされ、銃を取り落とす。
 距離の開いた二人の間にそれが転がる。視線が交錯する。お互いをにらみ合いながら、走り出す。先に銃を拾い上げ、引き金を引いたものが勝者となるだろう。
 最後の判定を行う」

 といった形になるはずだ。
 肉弾戦ならボクシングさながらのショートレンジの打ち合いにしてもいいし、知能戦ならお互いの仕掛けが交互に作動するのも面白い。色香に抗おうとする心理的な動きが表現されても、また、それらすべてを運よく凌いでもいい。
 しかし、三回の判定全てに意味のある描写をするのが望ましい
 この判定を行うとき、そこにいるキャラクターは、確かに主人公なのだから。

皆に公平なら判定は自由にして構わない

 ケッセン判定は、いわゆる創作ルールだ。最適化した判定のつもりだが、妄想と断じられればそれまでだ。
 ルールブックに記載されたものから離れた、「俺がやりたいからやる」というエゴの産物でもある。だから、使用に関しては、ある程度「ちょっと今回変な判定があるかもしれないよ」など事前に参加プレイヤーに許可を取っていただきたい。
 この判定方法は今のところ評判は良いが、決してほかの人間に押し付けるべきものではない。あくまでシナリオ演出の一助であり、プレイヤーへの楽しさの提供という目的から逸れることはないのだ。

 だが……
「物語の最後、今まで出会ったのことないほど強敵が、悪党として、悪党の君の前にたちはだかる。逃げることは許されず、負ければ最悪、死。
 しかし、臆することなく立ち向かい、駆け引きに勝ち、呑まれず、運が味方すれば、君は勝者となり、確かに、物語(シナリオ)の主人公となるだろう」
 そんなストーリーを書き上げたとき、この判定の採用を一考してみてくれ。
 基準値決定の苦悩。1回の比べ合いごとに伸し掛かるスキル発動と財を積むことへの葛藤。最終戦までもつれ込んだときの、まさしく「ケッセン」感。
 それらは今のところ、多くのプレイヤーに楽しんで貰えているし、今後も、楽しんで貰えると思っている。


 それでは、今回はこんなところで、質問は適宜コメントかしごろのTwitterでしてくれれば、そのうちアイツが返すだろう。
 じゃあ、俺は最終決戦が控えているから、またな。







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