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Chapter 7「異端者・孤立者・沈黙者」

ド・ブーズ 最初のメンバーは、全部で4人。

俺と、ユウキと、ナガヤマと、ヤマネだ。

俺たちは全員同い年で、それでもって全員ドブスでもあった。

ドブスってのは、つまりは他人を寄せ付けないレベルの不細工ってことだ。

言っちゃ悪いんだが、そん中でも正直ナガヤマはズバ抜けたブスだった。

これ以上ない程のブスで、臭かった。

デブのブスで、年中脂汗を垂らした不潔な奴。俺からするとアイツのことは、ずっとそういう認識でいた。

俺はそんなナガヤマのことが、嫌いだった。一緒にいるのが苦痛だった。

でも、ド・ブーズの仲間として話すときは、不思議と思白い奴だと思える瞬間もあった。

皆自分がドブスなんだと割り切って話してみると、案外話は弾んだもんだ。

あの時の俺は恥らいの気持ちも無しに、自分自身を上手くさらけ出せていたような気がして…

あの時、ド・ブーズの一員でいた時の俺は、在るがままの本来の俺自身でいれた。

あれこそ、俺があの辛い高校生活の中で、やっと自分の居場所を見つけられたと思えた瞬間だった。

俺にとってド・ブーズとしての生活は、場合によっては人生の至福の一時のようにも感じられるものでもあったんだ…


ヤマネドブーズの中では一番目立たない、静かな男だ。

簡単言うと、性的対象が人より物の方へと移っていたような奴だった。

しかし、そんなヤマネには妹がいた。

歳は俺たちの一つ下で、兄とは似ても似つかないような美女だった。

名は、ユミと言った。

そう、あのユミちゃんだ。

ヤマネ・ユミ。俺たちは彼女にゾッコンだった。

俺は彼女のことをモノにしたくて仕方がなかった。無論、ユウキもそうだった。

そんな俺らにとって、兄であるヤマネの存在は邪魔だった。

俺たちとユミちゃんの仲を妨げる存在。それこそが、ヤマネだ。

あのデクノ坊は、自分以外の男に妹を触れられるのを極度に恐れていたんだ。

だから、俺たちはヤマネを始末することにした。

兄を消せば、きっとユミちゃんは俺たちの方へと振りむいていれるだろう。

そう、俺たちは信じた。

ヤマネを消すことにユウキは賛同してくれた。勿論ナガヤマもだ。

だが、問題だったのは、もしこの事がバレた時に、誰を犯人に仕立て上げるか、まるで思いつかなかったことだ。

当時の俺たちは交友範囲が非常に狭かった。だから、当然人脈も無かったし、ヤマネが消えたら真っ先に俺達が疑われるのは避けられない運命であった。

だから、俺たちは、殺しの罪を擦り付けるための生贄を探し始めた。

今じゃ、俺の方が組織の生贄なんて皮肉なもんだが、あの頃の俺らはとにかく必死だった。誰ならばヤマネ殺しの犯人に相応しいのか、よく考えた。だが、なかなか俺らを超えるドブスには出会うことが出来なかった。

所詮、俺らは少数民族化かと、途方もない絶望感に暮れていた。


そんな中、ナガヤマが、新しい友達ができたと言って、一人の痩せたキモ男を連れてきた。

そいつはリュックにアイドルのバッジを山ほど身に付け、片足を引きずりながらもやって来た。

そして、そいつは、自身の事を、こう呼んだ。



アチワ





つづく→

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