人幻 にんげん

すごく天気のいい昼下がり、
病院の6階のラウンジでソファーに持たれながら彼女に借りた金原ひとみを読む。
外に見える国道から数え切れない車が走っていくのが見える。
この車に乗ってる一人一人に、自分と同じように人生があって未来があって少しの希望があって、そんなことを考えてくると頭の容量不足で気分が悪くなる。
自分は人の気持ちを考えることができない。
それは単に頭が悪いからでも、考えたくない訳でもない。
自分以外の人間が本当に人間としての生活を送っていて、自分と同じように幸せを感じ、悲しみを感じ、子供を産み、育て死んでいく。
結局、自分は自分であり、他人は他人なのだ。
本当にこの人は人間なのだろうか。
そこから話は始まってくる。だってお前は僕じゃないから本当のことなんてわかるわけが無い。
そんな人の気持ちを分かろうと思っても無理な話である。
昔からそうであった。
幼稚園の頃から人を人として見れなくなる時があり、本当に一緒に遊んでくれてる友達は友達なんだろうか。
お世話をしてくれてる先生は先生なのだろうか。
本当の先生というものを分かっていないはずなのに、偽物の先生を疑うという、あたかも本当の先生が居ると言っているような自分の矛盾思考に頭を抱えた。
何が本当なのか分からなくなってくる。
それは僕が幼稚園児だからか、一生解けるはずのないこの世の性なのか。
気持ち悪い。

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