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ぼくとヒプステ



ぼくとヒプノシスマイク


ヒプノシスマイクが「音楽原作キャラクターラッププロジェクト」ではなくて「男性声優ラップバトルプロジェクト」だったころ。
立ちグラがまだモノクロだったころ。

ぼくがヒプノシスマイクと出会ったのは、ヒプノシスマイクが「アイドル声優飽和時代」のよくある新規参入コンテンツの一つだろうと思われながら産声を上げた、まさにその時だった。

これ、ちょっとおもろいかもしれん。

おもろいかもしれん、と思った話は本筋ではないので割愛するけれど、ログボを切らさないために毎日ゲームにログインし、デイリークエストをこなし、フレンドにハートを送り、イベスト解放のために周回してポイントを貯める…ランキングに怯えながら、仕事から帰ってきてごはんを食べつつ、なお急務タスクに追われる日々に、ある時ふと我に返ってしまった。「これは一体なんのためにやってるんだろう」と。

ぼくは当時、ソシャゲ疲れしていた。

ソシャゲじゃないものを楽しみたい。
そのぼくの目の前でヌルッと爆誕していたのが、ヒプノシスマイクだった。


ぼくとヒプノシスマイクの別れ


ぼくはラップ、ヒップホップの初心者も初心者だったけれど、それこそ「初心者が多いだろうから」というところをスタート地点に据えて話をはじめてくれたヒプノシスマイクは、そりゃ面白かった。
音楽も好きだし、言葉遊びも好きだし、ひとくちにラップといってもラッパーによって色んな切り口があって、これもラップ?それもラップ?知らなかった面白い世界が実はこんなところにあったんだと、それは楽しい日々だった。

Battle Seasonがはじまるまでは。

ヒプノシスマイクのBattle Seasonとはなんぞや、というのは、やはり本筋ではないので割愛するけれども「AKB商法で推しにテッペン獲らせる企画」というのが、身も蓋もないけれど実状を端的に説明できているかなと思う。

毎時毎分毎秒追い立てられる仕事を終えて帰ってきて、毎時毎分毎秒追い立てられるゲームを寝るまでする日々が辛くて逃げ出した人間なのに、昨日まで仲良く机を並べ、ラップってたのC!と言っていた隣人の推しをサゲ、こき下ろし、投票権を買い漁る。

そんなことがしたかったんだっけ。

投票権を買って、推しにテッペン獲らせるのは良い。
よくわかんないけど、そういうルールの世界なんだとしたら、ルール上問題がないのだとしたら、良しとしよう。

だがしかし。
Battle Seasonが終わった後、テッペンとった奴のファンが、とれなかった奴のファンを「愛が足りないんじゃない?」って蹴っ飛ばすのはダメだ。

それはリング外戦闘、ルール違反なのだわ。
そんなのなんにも楽しくない。
ぜんぜんつまんない。
あーあ、つまんないつまんないつまんない。

ぼくはヒプノシスマイク(正しくはヒプノシスマイクのファン)が嫌いになった。
嫌いになっちゃった。
だからすこし、さよならすることにした。


ぼくと紆余曲折複雑骨折とヒプノシスマイク-Rule the Stage-


ぼくはヒプステは好きだ。
なんやかんやtrack1からずっと好きだ。
1時間で終わるオリジナルストーリー、2.5次元舞台では突拍子もない演出、本場のダンサー、ホンマモンの歌手、俳優、イケメン博覧会。
なにより、Battle Season(があるにはあったけれど、投票権が現金で積めない方式だった)でファン同士の諍いがない。
純粋おもろエンターテイメントは好きだ。

「今年はスパイダーマンだったけど、次の新作はアベンジャーズなんだ〜。マーベルは金ロー頼みで、ドクター・ストレンジしか映画館で見てないから詳しくないけど、おもろいといいね〜」
ぼくにとってはそんな感じだった。

「次のアベンジャーズにドクター出るよ」と、言われるまでは。
心臓に骨があったら左右で6本折れた。

心臓骨折する前に、ぼくの人生は紆余曲折あって、ほんとうに紆余曲折あったので割愛するのだけど、安井謙太郎という人に左折衝突自損事故を起こしている。
ここでいうドクター・ストレンジである。

とりあえず一報を聞いてヒプステFCに即時入会したし、仕事帰り舞台観劇人の友人に泣きながらLINEした。
「ちょっと無理です」と。実際は完全に無理だったけれど。

それはさておいて、ぼくは当時なんとしてもその人の芝居を生で見たかった。ちょうど個人活動休息時期に自損事故ってしまったので、得るものがなくグルグルしていたのだ。
ヒプステでなくても良かった。

ぼくは業界人でも目が肥えているわけでもないけれど、安井謙太郎という人がそんなに天才的芝居の上手ではなさそうだということは分かる。
ただ、すごい数の引き出しを持っていて、それが、本人の人生とかいのちの輝きとかいうものに帰依している引き出しなんだろうと思う。

今ならどのアクセサリーをつけられるか、どの服を着ることができるか、なにがふさわしいのか、自分の調子と仲間の調子と客席の調子を現場ではかって「今日はコレ!」を、舞台の上で楽しんでしているように見える。

(((舞台広報用映像とDVD本映像で180度違う芝居プランが残ってるのやめてもらっていいっすか!?!?!?!)))

そんなわけでとにかく、板の上に立っている彼の人の姿を生で見たかった。
ヒプステでなくても良かった。

ヒプノシスマイクの飴村乱数でなくても良かったのに。


ぼくと飴村乱数と安井乱数とヒプノシスマイク


ぼくは飴村乱数が好きだった。
MTCを応援しながら、推しディビジョンはTDDで、好きなキャラクターは飴村乱数と神宮寺寂雷という、なんとも説明のややこしい好きをやっていた

ぼくは飴村乱数が好きだ。
かわいらしいおとこのこが好きというより、かわいらしい容姿にかわいいと言いきれない白井悠介のボイスを持ち、「仲間」と口にする割に自分には仲間などいないと思っていて、人間でないにも関わらず人間であることに執着している、かなしいほど人間らしい飴村乱数が好きだ。

結論だけ言うと、ぼくが身勝手に何年も妄想していた飴村乱数像が、嘘みたいにそのまま舞台にあらわれたと思ってほしい。

「はじめまして!」と。
「一緒に楽しいことしよう!」と。

ただの新章・新キャストの初セリフだけども。

ぼくは、ヒプノシスマイクで楽しいものが見たかった。
楽しいものが見たくて、楽しいことがしたくて、ヒプノシスマイクに出会ったはずだった。
好きだったのに、嫌いになっちゃった。

でも、もしかして、ここから「はじめまして」して良いんですか。
また楽しいことができるんですか。

そうだ、ぼく、ヒプノシスマイク、好きだったんだなあ。


おわりに


2024年1月31日をもって、ぼくはヒプステFC会員を退会しました。
一度嫌いになったものをもう一度楽しみにさせてくれた人が、ずーーーっと最高をキープしたまま卒業するので、最高の状態で一緒に卒業します。
今度は嫌いにならないうちに、さよならできます。
最高すぎる。
楽しかった、本当に楽しかった。
ありがとう。


ぼくのヒプステはこれでおしまい。
この日記もここでおしまい。
意味も脈絡もとりとめもないけれど、万感の感謝と愛を残して。


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