一通り?ひととおり?
漢字の音訓の使い分けが難しいという話です。
私が受けているある講義は,やたらとレポートが厳しい。厳しいといっても,決して内容が難しいという訳ではない。数式や日本語の表現に対して教授が厳しいのである。
本講義のレポートには,TeXを用いるように指示されている。しかし,TeXを大学に入ってから使う機会なんてそうないのだから,まず導入の時点で躓いてしまう。
ようやく導入しても,記法のあれこれが分からないものだから,ネットで調べつつ地道にレポートを書き進める。これでは,本来の課題のための勉強をしているのか,TeXの勉強をしているのかわからんのである。
とはいえ,ここでTeXの使い方に慣れておこうという教授の粋な計らいだと思えば,こんなことは大して苦ではない。
一番きついのが,日本語に関する指摘である。何度レポートを送り付けても,「却下」とだけコメントをつけられて突き返されるのである。たまったもんじゃない。内容を見てもらえる前に,それと関係ないところで足止めを食らっているのだから。
講義の初めに,教授が受講生の日本語が汚くてイライラすると話していた。いや綺麗な日本語って何だ,と思いつつ,やみくもにレポートを修正して提出してみる。だいたい,0点で返ってくる。
先日。いつものようにレポートを再提出すると,「却下。」のコメントに一言添えられていた。曰く,「『一通り』となっているのを早く直せ」と。何度見ても直されていないから教授が痺れを切らしたのだろう。
しかし,この時私は悩んだ。この箇所は,用字用例辞典に基づいて「一通り」としていたためである。ちゃんと参照元もあるのに,どうして突き返されるんだ…?と暫く悩み続けた。
こうなると,私が見ているものと違う基準があるとしか思えないので,ネットでまた調べまくった。すると,正解に近いものが出てきた。
これは,内閣が告示した公用文に関する日本語表記の基準である。教授にとって,レポートは公用文であると言うのであれば,この文書こそが正しいということになる。
この告示,読んでいると日本語が難しく感じるのだが,いかがなものか。上記に示した例以外にも,接続詞をひらがなで書くルールや(「但し」「更に」「又は」などとしない),副詞,接頭語のルールまで気にし始めたら,レポートはおろか,noteもおちおち書けなくなりそうである。
しかし,正しい日本語で書くことは,身に着けておくべき技能であるから,これも教授の粋な計らいだと思って乗り越えるとしよう。
…と,雑記を書いていたら,教授からコメントがきた。
「推敲せい.こっちは隅から隅まで読んでんねや!」
あぁ,いらついてるな教授,お疲れ様です…。
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