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返報性の法則

返報性の法則、一度は聞いたことがあると思います。誰かから何かをしてもらったらお返しをしなければいけないという義務感を感じてしまう法則のことです。人間の普段の決断はほとんどが無意識の中で行われており、この返報性の法則はその中でも最も効果的で無意識に実施してしまっている法則です。

実際に伝票にキャンディーを入れるのと入れないのとではもらえるチップが異なったり、スーパーの試食コーナー、試供品などでもこの法則が上手く使われています。スーパーでニコニコしたおばさんから試食をもらった時を想像してみてください。なかなかその場で食べてただ素通りするというのは何か気が引けますよね。そんな感覚がこの返報性の法則が効いている証です。誰かから誕生日プレゼントをもらったから何かお返しをしなければ、逆に借りを作りたくないから奢ってもらうことをしないなど普段の生活でよく見かけます。

ただ、この法則の面白いところはもっと深い部分にあります。その1つが相手が好きか嫌いかに関係なく義務感を感じてしまうことです。相手に好意があれば分かりますが嫌いな人についても義務感を感じてしまうのは不思議ですよね。また、恩義を受けた相手には好感度も同時に高まるとされています。これによく関係したエピソードがあります。第一次世界大戦中に敵兵を捕まえて自陣で敵の情報を尋問するというものがあったのですが、捕まりかけた兵士が敵兵にパンを渡したところ捕まえずにその場で引き返したそうです。これはドイツ兵の実際の話なのですが極限の状況下でも発動されてしまうそれほど強力な法則なのです。

この法則の応用として譲歩という方法が挙げられます。相手が譲歩をしたから自分も譲歩しなければいけないと感じてしまうのです。例えば1枚5セントのチケットを買ってくれないかと依頼するとします。ただほとんどの人にとって必要ないので断ります。すると、では1本1セントのチョコバーを代わりに買ってくれないかと譲歩を受けます。人間は相手に譲歩してもらうと断りずらくなるので思わず買ってしまいます。先に譲歩を受けることが先に恩義を受けることと同義となるのです。ここで大事なのがチケットやチョコバーを売っていた人は何が目的だったのかということです。チケットを買ってもらうことではなく最初からチョコバーを買ってもらうことが目的だとしたらどうでしょうか。もうお分かりかと思います。これは譲歩的要請法とも呼ばれる手法ですがほとんどの人は無意識に行動させられています。

ここまで話してきましたがこの法則の強力なところは簡単には抗えないということです。譲歩は特にそうです。相手が妥協してくれたのに買わないのは嫌われそうだし買ったら相手のツボだし…みたいなことになるわけです。全てが悪というわけではありません。大事なのはこの法則を巧みに使って悪事を働く人がいるということです。みなさんはぜひ引っ掛からないように普段から意識して過ごしてみてください。

参考 影響力の武器

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