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私の好きなカバーソング(49) 「Falling in Love with Love(恋に恋して)」ヘレン・メリル、キース・ジャレット・トリオ、ソニー・ロリンズ

学生時代にジャズ好きの友人が貸してくれたカセットテープでこの曲を知りました。すごい名曲が入ってるんで聴いてみて、と言って渡されたのがこの「ヘレンメリル・ウィズ・クリフォードブラウン」でした。名曲というのは「You’d be so nice to come home to」のことでしたが、この曲もスキです。ヘレンメリルのハスキーボイス、クリフォードブラウンのトランペットが素晴らしくジャケット写真も素敵です。
後年CDを購入、録音が1954年でクインシージョーンズのアレンジと知りました。クインシー、この時代から活躍してたんですね。自分が生まれる以前のジャズや音楽を聴くきっかけになったアルバムのひとつです。

この曲はリチャード・ロジャース(作曲)、ロレンツ・ハート(作詞)という黄金の曲作りコンビの作品でミュージカルで使われました。恋に落ちる(恋に恋する)と空想にのめりこみ道化に落ち、結局傷つくから理性を保とうよ、と自分の痛い経験を若い女子たちにアドバイスする内容のようです。

1983年キースジャレットがスタンダーズトリオを結成、スタンダード曲中心のアルバムを立て続けにリリースしました。どれもが傑作です。
この曲は1986年の「スタンダーズ・ライヴ」収録です。このアルバムは全曲が名曲・名演です。ピアノトリオのスタンダード演奏でここまで興奮させるか、と思いました。当初はキースの唸り声が気になりましたが何度も聴くうちにキースの演奏姿が目に浮かぶようになり、気にならなくなりました。
このスタンダーズトリオの一連の作品で映画やミュージカル演劇、R&B音楽をベースにした米国歌謡の芳醇さに感激し、昔の曲を知りカバーを聴く楽しさに目覚めました。
キースについては「ケルンコンサート」くらいしか知らなかったんですが、ビッグネームの王道アーチストはやっぱりスゴい、という当たり前の結論に達し、改めて感動し、ジャズへの恋は深まっていきました。
このピアノトリオにはその後も古き良き素敵な曲をいっぱい教えてもらい、ここでも何度か紹介しています。残念なのは新作を聴くことができないことです。

ジャズテナーサックスの巨人、ソニーロリンズの1990年の演奏です。アルバムタイトルは「Falling in Love with Jazz」(ジャズに恋して)です。ソニーロリンズの長いキャリアの終わりに近づく時期のものですが、全然衰えを感じさせない溢れ出るアドリブの嵐に圧倒されます。ロリンズへの恋も深まるのでした。


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