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『傲慢と善良』を読み終えて

昨日買ってきて、それなりの厚さがあるから週末は読み終わらないかなと思ったのですが、読み終えてしまいました。

一言で言うと良かったです。
久しぶりに人間の内面をつまびらかにしている作品を読んだ気がします。
婚活がテーマのようですが、私としては親子関係を主軸として読んでいたかも。

私はどちらかというと、主人公の真実ではなく、架の女友達系統な女子でした。でも、私の親はどちらかと言うと真実の親のようだったように思います。

父は公務員、母は専業主婦だった我が家。両親は私を中高一貫の女子校に入れ、門限とかも厳しかった。学校の友だちとの外出先にも口を出すこともありました。ボーリングはいいけど、カラオケはダメとか(笑)。

それに苦しさを感じながら、私は夜中にこっそり家を出たこともあったし、大学生になってからは何度となく外泊をして親に免疫をつけさせた。恋愛以外の面でも、家は海外旅行をしたことはなかったし、両親はパスポートすら持っていなかった。横浜なので田舎ではなかったことが幸いとしか言いようがないです。とにかく、ある意味閉鎖的な考えの両親だったと思う。

結局のところ、自分の知らないものはダメという感覚なんだと子どもながらにわかるようになっていった。(上記のボーリングはいいけど、カラオケはダメとかは典型的だと思う。マックとミスドはいいけど、シェーキーズはダメみたいな。なんじゃそりゃ?)

そして、自分の子ども以外ー例えば父の職場のアルバイト(20代)の女の子ーが彼氏と旅行に行くことは微笑ましく聞けるのに、どうして自分の子どもだと同じ反応ができないのか?と疑問に思ったこともある。(父に直接言ったかどうかは忘れた)

両親のそういう言動を見ていて、親には『我が子フィルター』と言うのがあるんだと言うことも理解していった。


一方、私と同じような環境にいて、免疫がない女子たちには何度も「"素敵な片想い"じゃなくて、"適当な両思い"をした方がいい」と何度も思ってきたし、ときには言葉に出して言ったこともあると思う。
"素敵な片思い"なんて人生においてなんの戦闘力にもならないし、それってそもそも正確には「恋」ではない。相手がいて、リスクが伴う。それが「恋をする」ことだと私は思う。

「好きって言われたんだけど、付き合ってもすぐ別れちゃうかもしれないし〜、どうしよう」と言う女性の悩みを聞くたびに、「付き合えよ!」と思っていた。嫌いな人とでも無理して付き合えと言っているのではなんですよ。付き合うか迷うくらいには好意があるなら、付き合ったらいいのにと思うだけ。相手だって、付き合ってもないのに「すぐ別れるかもしれないから」と言う理由で振られるより、付き合った後に振られた方が納得がいくと思う。自分のことをお姫様か何かと勘違いしているんじゃないかと呆れて聞いていた。

この本では、そのお姫様だと勘違いさせている何かが丁寧に書かれてた。

うまくいくのは、自分の欲しいものがちゃんとわかっている人です。自分の生活を今後どうしていきたいか見えている人。ビジョンのある人。

『傲慢と善良』

お姫様にはビジョンはない。お城に生まれ、周りの人がキレイなドレスを着せてくれて、パーティに参加するだけ。出されたケーキと紅茶を飲み、城の外にはほとんど出ない。知り合うのは、親が連れてきた親の知り合いだけ。苦労はしないけど自由もない。そして、これは中世の話をしているのではない。現代でも鎖国された両親によって、お姫様が作られているということだと思う。


ちなみに、ネタバレになるかもしれないけど、冒頭の真実がストーカーに追われていて、架と電話するシーン。これを読んだときに、25歳と27歳くらいのカップルの話かと思ったら、数ページ後に35歳(女)と39歳(男)の会話だったと知って、嫌な違和感を感じた。
アラフォー2人が「助けて!助けて!」「一人にしてごめん」とか、安物の恋愛小説のパロディかと思った。最後まで読んで味わい深さに気づけたとも言えるけど。


#傲慢と善良

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