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空は毎日すごい色をしていますよ

 誰にも会わない3日間の内、2日間は夕暮れの降りる公園にいた。
 公園には誰も居らず、日の暮れる間近遊んでいた子供たちは家に着き、徘徊老人さながらの髭面のおれが現れる。部屋から持ってきたマグカップにコーヒーとティースプーンもそのままに、少しでも陽を浴びないと夜が眠れないと、ベンチに座ってタバコを吸っている。
 実家の側で、生まれた時から訪れているこの公園には猫が増えて、砂場には柵がされてある。使ったら閉めて下さいの張り紙。開いてる。閉める、音。

※おれをこの檻から出してくれ!!/出典:青い春/松本大洋

※(わたし自身でいる為のものが)わたしをある限界に制約し続ける/出典:攻殻機動隊/押井守

 足元にボールが転がってくるような。それを投げるポーズをとった胸より低い人影、その横顔を眺めるブランコとジャングルジムのてっぺん。逢魔が時、見える気がする幻は薄れる前の家に着いた彼らと、観測して補完するおれの、彼らくらいの年の頃が一緒にいる。感情は残る(だから気をつけないといけない)

 日の落ちる先の線路を電車が通って、そこにも人たちがいるんだと思って電車が過ぎて、また日の落ちる先が見えて吸い殻をポケットにしまう。空は毎日すごい色をしていますよ。青と紫と赤と雲がとても大きい。

(2015/3/7文推敲、写真は先程)

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