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邪念走 第1~10回【気まぐれ~駆け出し編】

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40代ライター 吉見マサノヴがランニング中に湧き出てくる邪念と煩悩について語る現在進行形ランニングエッセイ。 走ろうと思い立った日からランニングビギナーになるまでの過程。しかし湧…
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#日常

【邪念走】第5回 流通センターで挑戦する。

さて、どこでランニングシューズを買おう。東京に存在する数多の選択肢の中から私が選んだのは、スポーツ店でもランニング専門店でもメーカー直営店でもなく流通センター。そう、良質な靴を紳士靴、婦人靴、子供靴からスニーカーまで、地域に密着した品揃えをリーズナブルな価格で提供する大型靴店、東京靴流通センターである。 事前の適当なリサーチでは、とにかくヒールとクッション性が高いランニングシューズを選べばいいということはわかった。それだけがわかればいい。これ以上の情報が入ってくると購入の意

【邪念走】第4回 中級者以上のシューズを選ぶ。

ひとまず初めての「なんとなくそれらしい」ランニングを終えた。初めてにしては結構長距離走ったな。思えば遠くに来たもんだ。意外と素質あるのかもな、と自己の眠れる才能の片鱗に触れたかったのだが走行距離わずか2キロ。思わず近くにいたもんだ。まあ初めてだし、シューズが悪いんだろうな。と、自己の不甲斐なさを外的要因に求め、足首と太股と自身の心をマッサージしながらランニングシューズの購入を検討する。 まずはアマゾンでランニングシューズを検索。当然だが何万件も出てくる。選択基準がひとつもわ

【邪念走】第3回 限りなく成功に近いスルーをする。

防寒タイツにハーフパンツにパーカー姿は、休日にランニングという高尚な趣味を持つグッドダンディーエクセレントランニングマンを演出しつつ、「俺はまだ本気は出していない」と、しんどさによってはいつでも撤退できるという心の準備を共存させている。退路を確保しながら格好良く前進しているのだ。俺はイケてる趣味を楽しんでいる。そして全然本気出していない。 「俺はまだ本気出していない」という気持ちは精神衛生上、とても重要である。例えば「自己愛性パーソナリティ障害」の診断基準の一つに「誇大な自