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邪念走 第1~10回【気まぐれ~駆け出し編】

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40代ライター 吉見マサノヴがランニング中に湧き出てくる邪念と煩悩について語る現在進行形ランニングエッセイ。 走ろうと思い立った日からランニングビギナーになるまでの過程。しかし湧…
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#防衛機制

【邪念走】第10回 心に珍妙なものを取り入れる。

ランニング中、目の前を走る初老の男性が乗る自転車。私と同じ方向、同じ速度で走っているので距離が離れるわけでも縮むわけでもない。かれこれ1キロ以上、目の前を走行している。くせえ。風に乗って運ばれてくる強烈な煙草の臭いに顔をしかめる。 いっそのこと追い抜けばいいのだが、ランニングというものはゴールまでの残体力を予測、換算し、それを逆算しながら走らなければならないため、自転車の人が煙草臭いという理由のみでピッチを上げると体力を必要以上に消耗するため危険である。 仮に追い抜いたと

【邪念走】第9回 愛の思念を投げる。

ランニング中、若い女性とよく目が合う。近年のランニングブームに少なからず関心があるのだろう。それとも中年男性がちょっと無理したスポーティーな格好で走っていることが奇異に映るのか。目が合うのは一瞬だが、明らかに見られている。いずれにせよ悪い気はしない。 同じ室内ですらあまり目が合わない妻に、ランニング中に若い女性とたびたび目が合うので、男としての魅力が増したのかもしらんと話したところ、「あなたが凝視してるだけでしょ」と一蹴。そう言われてみるとなるほど思い当たる節しかなく、私の