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そもそもドラえもんって、教育上どうなの?

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という意見があります。


世界では、自立心を阻害するとして、教育上良くないので放送禁止する…という国もあるそうですね。


なぜかというと、ダメ中のダメ人間のようなのび太の願望を、なんの努力も苦労もなく、ドラえもんが不思議なポッケで叶えてくれてしまう…。

これが教育に良いわけがない、ということですわ。


親の気持ちとしては、まあ確かにと頷ける側面はあります。

努力せず、安易にドラえもんみたいなコネに頼るような人間になって欲しいという親はあまりいないでしょう。

確かにひとつひとつのエピソードを見ると、

「ドラえもん!お前はバカか!」

と言いたくなるようなのび太への甘やかせに腹が立つことはあります。

ただ、ほとんどの場合、のび太の願いは叶ってませんけどね。

大抵は、調子に乗りすぎて自滅するオチが待っています。

それと、主人公なのにのび太の人物像が、あまりにも不快感を覚えるほどポンコツぷりを発揮してくれるんですよね。


ところが、のび太は、随所にものすごく熱い思いがあったり、優しい気持ちがあったり、時に勇気を示してくれます。

映画版ではのび太は別人のように活躍をします。


つまり、人間なんて完璧じゃないし、これだけ欠点だらけであっても100%欠点の人間なんていない。
こんなのび太でも魅力的な部分、素敵な部分てあるんです。

いやむしろ、日ごろのダメ具合から期待値が低いからこそ、小さなことでも素敵に見えるのかもしれません。

弱い人間だからこそ、すぐに楽な方に逃げたがる…助けを求めたがる…努力ができない…

そんな人間も世の中にたくさんいます。


そんな人間にはなったらだめよと、否定し、ダメ人間の烙印を押すことが、教育なのでしょうか。


ドラえもんは、決してのび太のダメっぷりを肯定した作品ではないと思うんです。

例えば、こんなエピソードがあります。

ドラえもんが帰ることになり、のび太がこのままではドラえもんが安心して帰れないからと、ジャイアンとの喧嘩にドラえもんに頼らず自力で挑むシーン。


私たちは、このシーンに感動します。

あのいつものダメのび太が、ドラえもんのために愛と勇気で必死にがんばる…


それに登場人物のキャラクター性

だれも悪人は出てきません。


威張り散らして、いじめっ子のジャイアンですが、時に優しさと男気を見せてくれます。
自慢しいで虎の威をかるスネ夫ですが、彼も正義感や仲間思いの側面があります。
思い込みが激しく神経質でお風呂好きのしずかちゃんですが、彼女はまさにヒロインです。
出木杉君にはこれといった欠点が見当たらないのが欠点かも。

なぜか嫌いなキャラが一人もいません。


このように誰しもマイナスの側面とプラスの側面を持っていて、その両面を作中で随所に表現しているからこそ、人間的魅力を感じるわけです。

そして、私たちに人を見る目を一面的な偏った見方で人を判断してはいけないことを教えてくれるんです。

ですから決して、安易に教育上良くないとは、言いきれない奥深さが「ドラえもん」にはあると僕は思っています。


半世紀近くも国民に愛されて続けている所以じゃないでしょうか。

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