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【読書|Sales is】営業とは、お客様主導の「価値」特定を支援する操舵手

「営業」と聞いて皆さんはどんな印象をお持ちですか?それは業種によってちょっと受ける印象が違うと思います。

保険の「営業」、自動車販売店の「営業」、広告代理店の「営業」、不動産屋の「営業」など。私のキャリアにおける「営業」は、広告代理店のような「新規案件の獲得のために or 既存顧客の課題をヒアリングし、案件進行をコントロールする」であったり、SaaS系の企業のBtoB商材や新規プロダクトの導入支援をするための窓口のことを「営業」と指しています。

私自身、「営業」という職種に向き合わなければならないきっかけがあり、今回紹介する本「Sales is 科学的に成果をコントロールする営業術」を手に取りました。もともと私は「営業」が得意でも好きでもなく、その肩書きを名刺に入れることにすごく抵抗がありました。そんな私が、この本を通して学んだことをかいつまんで紹介します。

※私の解釈=私にとって重要だと思ったことを「キーである」や「ポイントである」と表現しており、本の表現とは異なる点、ご了承ください。

私のデビュー作『Sales is 』~科学的に成果をコントロールする営業術 (扶桑社)ですが、Amazonの先行予約が遅れており、7/30くらいになります。一般書店での販売は8/27です。発売前にも関わらず既に沢山反響を有難うございます!祝・書籍化に先駆けて沢山noteも書きます!#salesis pic.twitter.com/NnQpkwkLdu

— 今井晶也 | CEREBRIX (@M_imai_CEREBRIX) July 23, 2021

1. お客様は、課題解決になる「可能性」に契約している

「営業は、何に契約しているのか?」そう問われた時、本章における見出しのようなセリフを述べる人はなかなかいないんじゃないでしょうか。私も本を読んで、ハッとした一人です。

では、“可能性”とは一体なんでしょうか?ただ単に、

「うちの製品は、〜〜が優れているので、御社の作業効率の一助となりますよ」
「昨今叫ばれているDX化。それにはうちの製品がピッタリですよ」

などと説得を図ろうとすることで、一定の相手は「可能性を見出して」くれるかもしれませんが、最もわかりやすく“可能性”を感じるのはいわゆる「事例」です。

「同業他社の導入事例ありませんか?」
「直近の案件事例を見せてもらえませんか?」

お客様からよく聞かれる質問です。

わざわざ「数値やコンバージョンまで見せてください」とは言われませんが、「事例を見せてください=他社のビジネスをどれだけワークさせたか、ドライブさせたか数値込みで教えてください」とお願いされているのと同義です。

私は正直、「事例」を軽視していました。もちろん「事例」はお伝えしていましたが、「事例を見せる目的や意味」までは咀嚼してないかったです。

「Sales is」を読んで「“可能性の見える”事例のスライド作りや伝えた方」を考えるようになりました。

私のケースで言えば、扱っているサービスが導入された際の具体的な絵=画像とともに、通常の営業数値と比較してうちのサービスを導入するとどのくらい営業数値に貢献するか、といった数の伝え方や見せ方にこだわりました。

商談においても、冒頭からサービス紹介するのはやめ、まずはイメージを掴んでもらうように事例ベースで会話をスタートさせています。事例の絵=画像を冒頭で見せることで、私はお相手に対して「サービス紹介します」というスタンスから「新たな体験作りの提案をしますね」とスタンスが変わりました。

2. お客様の課題解決になる>>>この商品は優れている

私がよくやりがちなこと、それは「弊社の商品/サービス(自社のアイデア)が他よりも優れているんです」という営業トーク。つまり、「機能や利点、特徴、効能」を真っ先に伝えてしまう営業スタイル。

上記が、如何に無意味で逆効果であるかということを「Sales is」を読んで強く思いました。大事なことは、お客様が感じる「価値」が商品・サービスのどこにあるか、ということ。まずは、「機能・利点・特徴・効能」そして「価値」の違いについて見ていきます。

2-1. 機能・利点・特徴・効能とは

Sales isには、以下の画像のように説明されています。

これらは全て、商品に紐づいている、つまり商品が主語です。「うちの商品は〜〜が特徴です」「〜〜と〜〜といった機能を、うちの商品は有しています」という具合に。

2-2. 価値とは

一方、「価値」とは何か。それは、

価値:欲求を満たすものであり、価値の基準はお客様によって異なる。

ここでいう「価値」とは、営業本意な押し付けの「価値」ではなく、あくまでも価値の基準は、お客様主導であること。商品ではなく、お客様の課題に紐づいているものを「価値」と言います。

2-3. 顧客の課題に寄り添うことが大前提

お客様にはそれぞれ課題があり、それを無視したような営業スタンス、例えば、

「この商品に関して商談してOKってことだし、問い合わせももらったし、つまるところ自分の経験則で言えば、相手の課題は〜〜でしょ。」

「まあ課題に関して大きくずれていないだろうし、うちの商品の魅力伝えたらいいっしょ。逆にそれで買わないんだったらお客様として優先度高くないわ」

だなんて傲慢な営業ではダメだということです。

お客様自身の課題に寄り添い、お客様自身によって「価値」を言語化してもらう営業スタンスが望ましいということを「Sales is」を読んで学びました。

3. リードセールスとコアセールスという考え方

「営業」とは、工程が存在するということも「Sales is」を読んで学びました。リードセールス、コアセールスというに段階の工程です。それぞれの定義について見ていきます。

3-1. リードセールスとは

リードセールスとは、以下のような定義です。

営業における「前工程」のこと。下地作りや種まきをイメージし、購買意欲のないお客様を購買意欲のあるお客様へと転換させるプロセスのこと。

3-2. コアセールスとは

一方、コアセールスとは、

営業における「後工程」のこと。お客様それぞれの課題に対して、解決策やプランを提案し、購入してもらうプロセスのこと。

3-3. すぐに解決すべき課題があると認識させる

なぜ、このように前と後と工程を分けるのでしょうか。「Sales is」に載っていた図を用いて説明します。

上記のように、お客様は大抵「情報収集したい」「比較検討したい」といった購入意欲の浅い気持ちから商談に臨むケースは多く、こちらからの売り込みなら尚更その気持ちです。

「まあ、聞いてやってもいいか」なんてスタンスのお客様は往々にしています。そこから、自社にとって有益になりそうな“可能性”のある商品をいくつか絞り込み、自社にあった使い方や費用含めた特別プランなんかを聞きたい・提案してもらいたいわけです。

ここで、最も重要なことは、リードセールス・前工程における「営業の役割」です。「自社の希望を叶えるための、緊急度および重要度の高い課題が存在する」ということをお客様自身で認識してもらうのが、リードセールス・前工程での「営業の役割」になります。もちろん、すでに認識しているお客様もいると思います。

そのような方も含めて、リードセールス・前工程では今一度、お客様にヒアリングを行い、商談の場で課題を言語化してもらう。例え競合商品をすでに導入していたとしても、何かしらの問題やその問題源になっている課題が存在するはずです。

前工程の段階で、「よし、初回商談。ここで絶対買ってもらうぞ!」と意気込んではいけないということです。

4. まとめ

自分はあまり「営業」という役割に向き合いたくなかったです。それは新卒1社目で、形ばかりではあったかもしれないが、「プランナー」としてプライドを持っていたし、その肩書きが嬉しかったので「おれは営業ではないんだ」という気持ちが強かったからです。

2社目においても「マーケター」になりたくて転職し、見事現在の会社の「マーケティング部」で自社アプリのユーザーコミュニケーションに向き合い、試行錯誤しながら業務に向き合っていました。

そして現在、部署異動があり、新規事業部の新規プロダクトのビジネス推進という立場になりました。そこでは、

「営業・商談→クロージング→契約プラン策定(それに伴う申込書・請求書の構築)→サービス導入に向けたフロー構築→クライアントサポート(カスタマーサクセス)→マーケティング→プロダクトへのフィードバック…」

といった工程を一人で担う必要があり、その際、一番の入り口である「営業・商談」というスキルが圧倒的にないことに気づきました。

「営業」という役割から目を背けることができないと思い、「Sale is」を購入しました。

「Sales is」を読むまでの私は、営業とは対人スキルであり、一種のパワープレー的な要素もあると高を括っていました。でもそうではなかった。

「営業」とは、買ってもらうための工程があり、営業本意ではなく、相手主導の課題認識と価値の特定をしてもらうことが重要であり、そのための操舵手であると感じました。

「Sales is」はおすすめの一冊です。より詳しい内容を知りたい人は、ぜひこちらから購入してみてください。

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