見出し画像

Hello disappears

第5章 faith

大抵、この年の子はみんな自分を疑わない。
でも自分を信じているかと言われると黙ってしまう。それは何故か?簡単だ、彼女たちが信じているのは“そうしていれば自分は標的にならない”という確信のない何かであって、自分じゃないから。

私に向けられる目もきっとそういうことだった。自分だけ取り残されないように、みんなと話す話題くらいに思ってるんだろう。
小学生の子供にとって、他人の不幸はただの話題にすぎなくて。

誰でも1度はその標的になったことがあるだろう。怒られた時、泣いた時、様々な時に標的になったはずなのに、その時の気持ちがいいものでは無いことを知っているはずなのに
やめようとはしない。

「ねぇ、大丈夫?」

ほらきた。
気遣う言葉から入って心にズカズカ入り込んでは、歩み寄って来た気になって聞き出して他人にばら撒く悪趣味なやつ。

「なにが」
「なんかあったんじゃないかってみんな言うから…心配になってさ、最近1人だし…」

無難に切り抜けるか。
めんどくさい。

「一人でいたいだけだし、なんにもないよ」

答えを聞く前に立ち上がる。
追いかけてまでしつこく聞いたら嫌がられるであろうということくらいは人の顔色を見て生きるコイツには察しやすいだろう。
ほら、ね?追いかけてこない。

図書室まで駆け込んで静かに息をつく。
静かで人もいない日当たりが良くて風も入りやすいここを居心地のいい所として入り浸るようになるのにさほど時間はかからなかった。

「…だいたい読んじゃったな……」
棚に並んだ背表紙を指でなぞる。
この本は3回読んだ、あの本は先週みたし、
先月にそこのシリーズは読み終えた。なんて目だけ動かして図書室を巡る。

いーや、ここにいるだけで
楽になるのは言わずもがな、何も考えたくはない時に読書はもってこいだけど、本の内容を頭に入れられるほど今は頭に空きがない。仕方ないから寝ようかななんて1番奥のドアから死角になる机に突っ伏した。

暖かい日差しの中で微睡んでくる…
次に起きた時見るのは、怒った先生か、はたまた暮れた校庭か……そんなことを考えながら夢の中に入っていった。


こレガずっト続ケバイいのニ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?