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hello disappear

一章 What is crying?

ガラララと開けると何人かがこちらを振り向く。
これはだいたい皆そうだ、仲良しが来たらすぐに声を掛けられるように、仲良しこよしの鉄則。それも、グループの中心じゃない子がよくやる、女王蜂に嫌われないように。

私に声を掛ける子はいない。当然だ一週間も学校に来ていない子になんと言えば良いか正しい答えを知る子なんていないだろう。答えなんてあったらだけど。まぁ、唯一の救いはあの子が同じクラスじゃ無いことか、いや、2クラスの過疎地域だから結局隣のクラスではあるし、何とも言えない。

人によっては「そんな事で」と言われるだろうけど、私の学校への気持ちを変えるのにこの出来事は充分だった。恐らく人生最初の障害だったかも知れない。私を見ながら二言三言交わされている会話を脳内から閉め出して本を開く。『聞こえてんだよ』なんて、言ってやっても良かったけど。

そもそもの始まりはあの子と同じクラブに入ったことだ。たまたま一人でいたあの子に声を掛けてしまったのがきっかけ。家が近いのもあって、毎日のように遊ぶことになるのは時間の問題だった。

「ねぇ、今日はあっちの公園行こう!」あの日、あの子の提案のせいで、いや、私の甘さのせいで、こうなるなんてあの日の私は思ってもなかった。
「え、でも私 今自転車パンクしちゃってて……」
「いいよ!お母さんのがあるからそれかしてあげる!物置にあるからすぐ出せるよ」
「え?!いや、いいよ!勝手に借りれないし、壊しちゃったら……」
「大丈夫!何かあったら、私が無理に貸したって言うから!」
アァ,コノ言葉サエ信ジナケレバ
「……ホントにいーの?」

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