20240115-0121
一月十五日(月)
どうして自分を愛さなければならないのだろう。
帰り道、工事現場、灰色のどろどろしたものと、茶色のさらさらしたものを重機で混ぜ合わせていた。賢い人の、正しい解答欄はうつくしい、というのは本当だと思う。うつくしくない解答欄は、多分間違っている。今私が見ている景色は、きっと正しくないのだ、と思う。
Yさんから洋酒ケーキをいただく。「これ、好きなんです!」とめずらしく朗らかな声が出た。お酒がしみしみの、とても美味しいケーキ。
夕方、豚肉、大根、人参、白菜、ねぎで豚汁をつくる。最近の豚汁や味噌汁は、大根や人参をいちょうや半月に切るのではなく、ごろごろとした乱切りにするのが好きだ。
一月十六日(火)
労働、買いもの。ブロッコリーを蒸して、トマトを切りマッシュルームを切る。じゃがいもを蒸かす。油あげ、ねぎ、大根の皮で味噌汁をつくる。鯖を焼く。
一月十七日(水)
たくさん食べたい気持ちと、何ひとつ食べたくない気持ちの両方がある。
愛することや、愛されることについて考えて、憂鬱になる。
自愛や慈愛は人に向けるものであって、自分に向けるものではないと思っている。
いろいろなことを忘れてしまうし、いろいろなことを忘れられないでいる。
人参をオイル煮にする。春菊をゆがく。葉は手で摘んで、茎はななめに切る。大根と白菜を切る。
聴こえない音を聴くためには、沈黙しなくてはいけない。そのことを、いつも忘れてしまう。
晩ごはんは豚汁。
一月十八日(木)
雨が降りそうで降らない。あまり寒くない朝。
生理前だからか具合がよくない。労働をし、Yさんにみかんをたくさんいただいて帰る。帰り道、アパートが見えてきたあたりで雨が降りはじめる。
トマトを切り、油あげにたまごを入れて甘辛く煮る。
一月十九日(金)
かぶと豚肉を炒める。とても美味しくできる。
一月二十日(土)
昼、ハムとチーズのホットサンドをつくり食べる。パンの片方にマヨネーズ、もう片方にマスタードを塗り、ハム、チーズ、ハムの順ではさみ、マーガリンを溶かしたフライパンで焼く。フライ返しで押しつけながら。
夜は夫の実家からいただいてきたおでんをあたためて食べる。
一月二十一日(日)
朝、ゆうべの残りのおでん。
ホームセンターに行き、白いチューリップを二本買う。クリスマスローズ、アネモネ、ラナンキュラスなどの苗がいいなと思う。冬の終わりの庭。そのあとパン屋へ行き、田舎パンとリュスティック、ミルクフランスを買う。
昼前、大泣きをする。くたびれたからだで食べる田舎パンとリュスティックは、今の気持ちにとても合っていると思った。だから私はパンが好きだ。静かなパンは私を慰める。
食べものと、愛情を結びつけないでほしい、と思う。
簡素な食べものが好きだ。パンとジャムとか、クラッカーとかビスケットとかくだものとか。
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