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20240106-0111

一月六日(土)
 朝、うす暗く、くもり。道やベランダがしっとりと濡れている。静かに雨。しばらくすると晴れてくる。
 夫は実家と図書館へ。久しぶりに一人の時間になる。ミルクティーをいれて、パソコンを開く。しもやけは年末がピークで、年が明けてから次第に治まってきた。治まってきた頃が、色は一番痛々しくなるのだけれど。
 柑橘の苦味が欲しいな、と思う。ひとりになりたいな、と思う。こんなにも私はきちんと孤独で、それは私にとってかなしいとかさみしいとかそういうことではなく、むしろ健全なことのはずなのに、ひとりにはなれない。
 傍に、チョコレートの包み紙があって、甘い香りが残っている。
 午後、古道具屋へ行き、白い抹茶茶碗を買う。

一月七日(日)
 朝、七草粥をこしらえ食べる。と言っても、おかゆを炊いて、乾燥七草を入れただけ。それと、キウイ。夫の分は、昨日買った抹茶茶碗に入れてみる。とてもいい。
 買いもの。産直のようなところで、カリフラワー、ブロッコリー、菜の花、レモン。そのあとでスーパーへ。帰って、トマトを切り、菜の花を茹で、カリフラワーをオリーブオイルで蒸し焼きにする。きのこをほぐして冷凍する。
 昼、ハムとたまごのサンドイッチ。たまごはフライパンでとろりとしたたまごやきにしてハムの上にのせる。パンにはマヨネーズとマスタード。それからトマトとカリフラワー。夫は無印のミネストローネも。久しぶりに食べるカリフラワーは、あまくておいしい。
 私は食に関することに執着しているけれど、何も食べずにいられるのであればそうしたい、とも思っている。食べることやつくることが好き! というわけではない。考えては疲弊しているし、食べると、生きてしまう。
 夫は本屋へ。風が強い。

一月八日(月)
 トマトを切り人参を切り、ブロッコリーを蒸す。レモンを切る。鶏肉を焼いて、みりん、醤油、はちみつで甘辛く煮詰め、レモンを加える。
 ひとりで暮らせるほど丈夫でないけれど、人と暮らせるほどまともでもないので、困ってしまう。

一月九日(火)
 朝、とてもとても細い白い月。ゆうべの残りの、ねぎと豆腐の味噌汁に、たまごを落とす。
 昨日から寒い。年末年始があたたかかったので、こたえる。いつまで経ってもからだがあたたまらない。
 労働、のち買いもの。ツナのパンを買って帰り、食べる。ミルクティーと一緒に。Hさんにお菓子をたくさんいただく。
 大きめに切った大根と人参、きのこ、油あげ、ねぎで味噌汁をつくる。
 ぜんぶ台所のせいにして、台所にしがみついている。きちんとしたものをつくって、きちんとしたものを食べていれば、ぜんぶうまくいくと思っている。思いたい。でも、そうでもない。
 ホットココア屋になりたい。ホットココアしか売らない。

一月十日(水)
 雨。暗い朝。残っていたカリフラワーを蒸し焼きにする。ミルクティーを飲む。土門蘭さんの『死ぬまで生きる日記』を久しぶりに読む。一章ずつ、じっくり読んでいこうと思うのに、ぐいぐいと読んでしまう。はじめて読んだ時もそうだった。
 昼、雨がやみ、晴れてくる。レモンを切ってはちみつに漬ける。トマトを切る。大根と人参を切る。夕方、風が強くなり、暗くなる。部屋の中は暖房のせいか乾燥している。
 生きること。ご飯をつくって食べること。そういうことに、ほとほと疲れてしまって、それでもご飯をつくって食べて、眠る。

一月十一日(木)
 起きるのが億劫な朝。
 労働。買いものをして帰ろうかどうしようかと悩んで、やめる。昼も何を食べたらいいかわからず、ミルクティーをいれ、この前いただいたラスクとチョコレートケーキを食べる。
 眠く、気力もないけれど、人参とたまごを炒めてかつおぶしをまぶす。漬けておいた鶏肉をきのこと一緒に煮る。白い庭を抱くように、まぶたを閉じる。


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