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続・あの男の子の恋とは

男の子は、高身長、細身で

頭はびっくりするぐらい

小さくて、形が良い。

何もしなくても、きれいなお肌は

ツルツルしてる。

センスも良かったから、

いつでもオシャレだ。

そんなこんなで、彼にはいつも

女の子たちが、何かを求めて

期待して、やって来る。

時に、愛されることを。

時に、並んで歩くだけで

みんながちらちら見てくる

羨望の眼差しを。

男の子は、いつも空っぽで、

本当は何も差し出すことが

出来ないのに。

女の子たちは、寄せて返す波のように

いつも空っぽな彼から

去っては、またやってくる。

ある日、彼が適当な女の子を

アプリで探してると、

年上だけど、美人な人の写真を

見つけた。

いつもなら、気軽に遊べる

同年代か年下を選ぶけど

何となく、いいねをつけてしまう。

それから、二人は会う約束をする。

彼女は、バツイチ。

彼女は、気にしていたけれど、

彼はいつものように、

僕は気にしないな。

今は、周りにもシングルマザーは

たくさんいるからね。

そんな口説き文句をゆってた。

彼女は、ひとりの時間が出来ると

彼に連絡してきて、ふたりは

そのたびに体を重ねるように

なった。

彼は花の蜜に吸い寄せられる

虫みたいに、飛んで行く。

ぶぶぶぶ。

彼女は時々行為の最中に

静かに目から涙をこぼす。

彼女の頬のあたりが

冷たく湿っていて

彼は、ただ夢中で彼女との行為を

楽しんでいるのに

その時には、その事しか

考えられないのに、

彼女は、別の事へと

思いをはせているのだと

びっくりする。

そんな時、彼は普段は

何でもスマートなのに、

笑ってしまうぐらい不器用に、

彼女の頭を撫でて

ぎこちなく抱きしめ、

頬にくちづける。

彼女には、彼がどれだけ

うずめても、

手の届かない場所があるのだ。

そんな日々を繰り返していた

ある日、彼のLINEには

既読がつかない。

完全な無。

彼女の事を彼は何も知らない。

アイコンにあったカタカナの

名前だけ。

ミカ。

それから、彼はまた

空っぽの彼に戻った。

彼は、時々思う。

いつかまた、彼女に会ったら

その時は、名前の漢字を聞こう。

知りたいと思った、その分だけ

彼の空っぽの箱には

灯りがともる。

これが彼の恋のお話。


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