2020年1月1日0時00分。 ベットの脇に置かれたデジタル時計が、日付を超えたことを僕に教えた。 特になんでもない水曜日の深夜、ベッドから起き上がりテレビをつけると男性アイドルがコンサートをしていた。ここまで人数がいるとイケメンでも顔の見分けがつかない。きっと僕が混ざっても分からないだろう、その考えは心の中でひっそりと否定をするのだった。 少し硬い抱き枕をどかし、出かけるかとダウンの埃をはらう。 「これ、臭いな。嫌いな香りだ」 確か、数年前引越し祝いで誰かが置い