パリには何故サーモンと焼き鳥の日本料理屋が乱立しているのか
パリには日本料理屋がたくさんあります。
特にオペラ駅周辺は、からあげ、ラーメン、おにぎりなどたくさんの日本料理屋さんがあります。とらやを見た時は嬉しくて思わずどら焼きを買いました。
しかし、それ以外の地域でも日本料理屋をたくさん見かけます。
特にこっちに来て気になったのは、サーモンが主体のお寿司と、焼き鳥の組み合わせ。なんとなく、ああ、日本食っぽいものをまとめて食べられるお店なのかな〜と思っていましたが、お店の中を覗くと日本人の店員さんはいない。
以前、パリに旅行で来た時も、どうしても生魚が食べたくて日本料理と書かれているお店に入ると、これは日本料理じゃないな〜と、首を傾げたくなる料理にでくわしました。
その時もなんとなくそういうものかと思ってしまいましたが、ちゃんとした合理的な理由があるようです。
まず、根底に「日本料理」というブランドがあるということ。平成25年にはユネスコ無形文化資産として登録されました。
そして大抵、そういったお店は日本人は関わってなく、中華系やスリランカ、ベトナム系の方がやっているお店が多いのですが、
外国人にとって、サーモンと焼き鳥が一番コストが低く、作れる日本食だということなのです。
まず焼き鳥は全て冷凍食品なので廃棄がない。
フランスでは、2016年2月に「食品廃棄禁止法」が成立しました。ざっくり言うと、大きいお店の場合、賞味期限が切れたものを廃棄してはいけない。集めて、貧困などを原因にご飯が食べられない人に分けましょう。という法律ですが、これが将来的に、小さいお店に適用されても、法律対策は必要ありません。コストだけではなく、法律的にも強みになります。
また、焼いてタレをつけるという比較的簡単なオペレーションで済むので、アルバイトを雇いやすい。(国籍、言語力が必要ない)
フランスは移民を受け入れている国ですし、パリは観光地なので、道を歩いていると本当に様々な国籍の人が歩いています。
かつ今、労働市場は人手不足。フランス語を話せずに来る私のような外国人も多いでしょう。そんな人でも働かせることができるのは、レストランのキッチンなのです。
次はサーモン。
サーモンは、魚としては比較的世界中どこでも食べられている魚で、手に入りやすい。マグロを食べることを反対している国もありますし、色んな種類の魚が手に入るという国はそもそも少ないのかもしれないですね。
サーモンを使ったお寿司もオペレーションとしては、煮る、焼く、蒸すなどの加減が必要な料理よりも比較的簡単に、作ることができます。
というわけで、「サーモンを中心とした寿司と焼き鳥のセット」は外国人が「日本料理」というブランドを使って、もっともコストを抑えて提供できる料理だということです。
もちろんちゃんとした日本料理を食べられるところはたくさんありますし、日本のラーメン屋さんもパリでたくさん見かけます。(値段が高すぎて落ち込みますが)
個人的には、日本食とは少し違う料理をフランスの人に「これが日本食なのか」と勘違いして欲しくないな〜という気持ちがあるのですが、
バイト先のオーナーいわく、日本食がフランスに根付いたのは偽日本食レストランのおかげとのこと。
物事を一点でとらえてはいけないですね。
ただ、日本人の方がパリに来る際は、日本料理という看板を見て入っても、日本料理ではない日本料理に出くわすことがありますので、お気をつけくださいね。
では、よい1日を。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?