【J1第8節】vs横浜FM戦 2022鹿島アントラーズ 12歩目

負け。あまりマリノスが好きな人が読むのはオススメしません。



スタメンは以下の通り

鹿島はこの4連勝を支えたハイテンポ・ハイインテンシティな、縦のスピード感で勝負するサッカーでこの試合を勝ちに来た。

そのために足元の技術で違いを見せるフレッシュな土居や荒木ではなく、スプリント力や縦への迫力にストロングポイントを持つカイキやアラーノを連戦連投するという人選に。

で、鹿島としては縦に早く攻めて早く攻めさせるハイテンポなゲーム展開にしてくために、マリノスがしっかりとボールを握ってじっくり攻め込むような展開になる事を防ぐ必要があった。

という事で和泉を前に出す4-1-3-2守備を準備。

まずは最前線の2FWが中を切りながら追う事で外のSBへボール出させ、そこに対しSHがアタックするタイミングを全体のスイッチとして同サイドに封鎖。
出口となるボールサイドの相手CHに対しては、和泉が監視役として着くことで中央を締める。

噛み合わせのキーになるトップ下の西村は樋口が見て、外の縦しかなくなった所で奪う。

押し込まれても、これでマリノスの攻撃をWGを使った外に限定。鹿島としてはそこにはSBが常に対応し、中は常に3vs2。

+1で相手の同サイドSBが上がって来れば、そこはSHが一緒に下がってきて消す。


奪ったらその瞬間に即縦。迷わず2FWもしくは逆サイドSHまでボールを届けて、そこから一気にスピードアップして広大なスペースを、中盤のスプリント力と2FWのタメを活かし一気に駆け上がり相手ゴールに迫る。

もしそれで仮にリードできれば、相手が重心を前に出し点を取りに来るようになる事でより広くなるカウンター時のスペースを活かして追加点を狙う。

というプラン。


で、この戦略は前半開始直後からかなり順調に表現できてた。

マリノスがボールを持てばSBの所で詰まらせて高い位置で捕まえられてたし、そこを相手が嫌がって早く縦にやらせればそれはこっちの望んだ展開で。

急いで一番前に付けてきた所を健斗関川は自信を持って跳ね返すし、常本安西はハイテンポの展開での守備は得意分野。相手WGとのヨーイドンから始まる守備ではまず後手を踏まない。

高い位置でボールを奪ってのカウンターもあったし、中~長距離のボールで大きくエリアを獲得しての押し込みに成功し、相手ゴールに迫るシーンもあった。


実際に前半のチャンスは鹿島の方が多かった。

でも前半は0-0で終了。
敗因はここ。

やれてたのに先制できなかった。

やろうとしていた事ができていた時間帯に、それを先制するほどの優位に持っていけなかった。


その理由は、まぁエネルギー不足と一言でまとめて差し支えないと思う。

構造でプレスで捕まえても、1つ1つのアタックの出足や強度で連戦の疲労が見え隠れする。これは今の鹿島の戦略的に痛すぎる。
カウンターの時でも同じ。1つ1つの精度で疲労が隠し切れない。

それもそのはず。なんせこの
鹿嶋(中3日)福岡(中3日)鹿嶋
という日程を、鹿島はほぼ同じメンバーで戦ってきてる。

さらにここ数試合は縦へのスピード感で勝負する、ハイテンポ・ハイインテンシティな、消耗の激しい戦略。

そして極めつけにこの日の気温。今年初の20℃越え、どころか20℃台中盤まで急に暑くなった。

このトリプルパンチ。

もっと言えばエヴェ,仲間,ジエゴ,中村らの不在。


これらの条件がこの日の選手達を苦しめた。



とはいえこの試合をこのメンバーで、そしてこの戦略で挑んだ事に対しては個人的にはとても納得がいっている。

ヴァイラーが来日しチームに合流してからこの日までに5試合。

この日の時点で、マリノスを上回る出力が必要とあれば、付け焼刃の新しい形の確立を模索しながらこのゲームを進めるより、試合開始直後から自信と流れの伴ったこの戦略を信じてやり切る選択がベターだ。

「戦略の幅が足りなかったから、疲労を回避しながら戦う事ができなかった」という指摘に対しては、それを新監督がチームに合流してからのこれまでの5試合で『勝ちながら』取り組んでくるべきだったと求めるのは、非現実的だろうと考える。

加えて、「その点マリノスの方がチームとしての成熟度が高く…」というのも、正直個人的には全面的に肯定はし難い。

もちろん
やりたいサッカーのビジョンとそのディテールがチームに浸透し、
その実現のために必要な選手層の確保が進んでいて、
それによりピッチ上の秩序を保ったままフレッシュな選手を起用できるという事。
それは「チームとしての成熟度」に他ならない。

それができたマリノスと鹿島の差は、ピッチ上にエネルギーの差として明確に存在していた。

しかしマリノスもメンバーを8人入れ替えたとはいえ、その前節は落としてしまっているわけで。

我々より「先に居た」とは感じるものの、「上に居た」という程の差は感覚的にない。


まぁこんな事をダラダラ言ってるのには理由があって。

それはそんなにファンが言うほど悲観する内容ではなかったでしょと強く思ってるから。

確かに60分にCKで先制されて、逆転しようと仕掛けた結果さらに2点取られはしたものの。
鹿島はそれに至るまでにいくつも決定機を作っていたし、CKだけで見ても、先制されるまでに鹿島は2回ポストを叩いてたわけで。

歯が立たなくて、総合的に完全に上回られてて、新しい変化が必要な段階だ~とか。

個人的にはそんな風には全く思ってない。


「これまで通り」のペースで。
ここまで5試合やってきた「これまで通り」のペースで、新たな課題に対して良いチャレンジを重ねていけば、そんなに慌てて焦らなくたって、「先」に居たマリノスにだって追いつける。

もちろんこれはチームとして成長できる大チャンスだ。仕方ないと割り切って、忘れて無かったことにするにはあまりにもったいな過ぎる授業料であり、この日出た課題はあくまで「収穫」として向き合う必要がある。

ただそれはあくまで新たな課題であって、この組織の欠陥ではない。



条件が重なって下振れが起き、こういう試合になる事はある。長いシーズンを戦ってれば避けられない。

なのでこの授業料を糧にまた「1つ」前に進んで、次の負けを防ぐ。

これまでの過程を否定することなく、
また、焦って段飛ばしで大きく変化しようとするのではなく、1つ前に進んでいく。
そのために止まることなく勇気を持ってまた歩みを進める。


そうすればこのチームは大丈夫。

試合でチャレンジし、そこで得たフィードバックを基にトレーニングで積み上げる。その過程で新しい引き出しを形成していく。

それができるのが今の鹿島。信じて待つ。

次は勝つ。以上。