中国でいま何が起きているのか

19年10月31日の邱海涛氏の新刊を読了しました。

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中国と取引をしている仕事柄、昨年の香港デモのことなど読んでおく必要性があると感じておりました。もちろん、時期的にコロナウィルス問題は含まれておりません。しかし、読んだからこそ「今の武漢が、ああなっている理由」が少し理解できた気がします。

twitterやニュースなど眺めていますと、やはり中国経済脅威論と言いますか、

「日本はとっくに中国に追い抜かされた!」「中国はスゴい!先進国の仲間入りをしている!」

という論調が多いように感じますし、キャッシュレスの流れなど確かに先を行っているな、と感じることも多々あります。

この本は、「過度な評価」や「中国体制への批判」をしているという内容ではなく、淡々と中国の「現実」を記しているなと感じます。

世界の大学ランキングにおいて、日本の大学(東京大学)よりも上ながら未だにノーベル賞が出てくる気配がない現実(もちろんこれからかもしれませんが)。

ファーウェイ、中国政府、アメリカとの関係性。

香港デモよりも、台湾問題に気をとがらせていること。

今回の武漢のウィルスに関して、前述の通り触れられてはいないのですが、中国の国民保険制度などについても書かれています。

抜歯に数十万円かかったり、日本の高額療養費(高額医療費支給制度)ような制度がないことにより、骨折して麻痺しかけた足を自らのこぎりで切断しようとした壮絶な実話が描かれています。

ここは推測になりますが、武漢ウィルスに関しても、「検査するなら、××人民元かかるがどうする?」と病院側から提示されても払えないので、様子を見ているうちに重症化、もしくは亡くなっていった方が少なくないのではないかと。検査だけでも高い、治療するとなるとさらにかかる…日本と決定的に違う点ではないでしょうか。日本の状況を基準にすると、見えなくなってしまうことだと思います。

日本以上に広がる国民間の格差。都市部と農村の、絶望的な格差。米中関係と日中関係と。知っておくべき内容が詰まった一冊でした。





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