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僕の夢買ってください

みなさんお元気ですか。
スプリントコーチ の「秋本真吾」です。
子供たちからトップアスリートまで人の足を速くするという仕事をしています。

今日はアスリートが行うクラウドファンディングについてです。

この時期になると大学生や競技を続けたくても続けられない選手からの相談が増えます。

そういった選手に色々質問を投げかけながら、競技を続けるための「条件」を聞いていくと大体このように着地します。

1.環境は変えたくない
2.今のコーチに教わりたい
3.できれば働く時間を少なくしたい
4.定期的に合宿に行きたい

お金の面を除くとこのような意見がほとんどんです。

結論を言うと、このような条件を全て受け入れてくれるような企業や個人のスポンサーはほぼありません。

世の中誰もが知っているアスリートの共通点は少なからず「結果」を出している選手だと思います。

私が選手だった時、日本選手権の決勝でレーン紹介でTVに映った時、もう僕はある程度知名度を獲得したぐらいに思ってましたが、それは大きな勘違いで世の中、つまりは自分に「お金」を払ってでもサポートしてくれる人へは何も届いていません。街を歩いていても誰も振り返らない。それぞれの試合会場に行けば何人かが「ああ、あの選手名前聞いたことある」ぐらいです。

そういった意味では競技を続けたくても続けられない選手の共通点は「結果」が出ていないということになります。

僕は日本選手権で5位が最高順位でした。陸上競技でオリンピックや世界陸上には最大で3名までが出場することができます。代表になった諸先輩方からは「中途半端に強いは良くないよ」と言われ続けてきました。手が届きそうで届かない。「あと一歩で世界に行けそうなんです」は頑張りを見てきている身内以外は「そうなんですね、がんばってください」で終わります。

そういったうまく競技を続けたくても続けられない、競技にかかる費用を支援してもらいたいアスリートが個人で資金を募るプラットフォームを利用することが当たり前になってきました。その中でも最もスタートしやすいのがクラウドファンディングだと思います。僕も使ったことがあります。

それらのアスリートの主張は当然上記に述べたことがメインとなります。クラウドファンディングには様々な方法があります。

1.寄付
2. 返礼品付き寄付
3.目標達成
4.目標未達成

1は被災地支援の仕組みが世間に浸透したロールモデルのような気もします。

2は支援者がお返しとして対価を受け取れるものです。例えばアスリートが海外遠征に行きたい。〇〇円支援してくれたら海外でしか買えないようなお土産を買ってきますみたいなものです。金額が上がれば上がるほどそのリターンが大きくなるようなイメージです。

3は2の購入型の派生したようなものですが、当事者が目標金額を決めて達成された場合のみプロジェクトが成立する形です。

4は2とほぼ同じで目標金額が達成されてもされなくてもプロジェクトは成立されます。

全て見たわけではないですが、アスリートのクラウドファンディングはプロジェクトが成功しなかった数の方が多いのではないでしょうか。

スポーツだけでなく様々なクラウドファンディングでの成功例を見るとそのポイントは

「共感」にあると思います。


結局、何も知らない何も分からない人にお金を払えますか?という話です。

僕がもし付き合いも長く、めちゃくちゃ頑張っている、でも結果出ない。あと一歩で世界に届きそう。そんなアスリートがクラウドファンディングをしていたらリターン関係なくお金を払います。

なぜでしょうか?
それはその選手の背景、パーソナリティを知っているからです。

結局、共感できるかどうかの数が重要だと考えます。

もう一つは、アスリートのリターンの深さです。

何か施設を作るとか、形になることで支援者にとってメリットがあるプロジェクトはお金を払いやすいのではないでしょうか。

もし、自分の家の近くに室内の陸上競技場ができます。〇〇万円払ってくれたら1年間そこの競技場を無料で使用できますとなったら僕は払います。なぜでしょうか?僕に大きなメリットがあるからです。

それに対して対個人の場合のリターンはその人が何をしてくれるかになってきます。

ここで先ほどの話に戻ります。
何も知らない何も分からない人へのリターンに興味が湧きません。

そして、パーソナリティを知っていたとしても正直リターンを欲しいと思いません。ただ純粋にあなたを応援したいんだよねがほとんどです。ここが考えなければならない大きなポイントなのではないでしょうか。

キングコングの西野亮廣さんは国内でクラウドファンディングでお金を最も集めた方です。総額3億円です。

彼になぜそれができたか?

1.西野亮廣という人物をみんなが知っている。
2.共感してくれる数が多い。
3.プロジェクトの内容がいい。

僕も現役の時にアスリートのクラウドファンディングに登録していた時期がありました。なんのこっちゃよく分からない。とりあえず連絡が来たからやってみるかぐらいの感覚でした。リターンの内容も最初に登録していたアスリートの真似をして書いてました。結果何も起きませんでした。

それは西野さんの真逆だったからです。

1.秋本真吾という人物を誰も知らない。
2.共感してくれる数が少ない。
3.プロジェクトの内容がない。

その結果、一部の本質を分かっている人からは

「なんか勢いはあるけどノープランだよね」
「アスリートって世間知らずだよね」
「もっと勉強した方がいいんじゃない」

そんな風に思われていたかもしれません。

今やクラウドファンディングをしないなってもったいない!どんどん行動しないと!そんな声も聞こえてきます。

もちろん行動することは大事です。

ただ、勢いだけの行動は逆に世間からの信頼を失うだけのクラウドファンディングに繋がってしまうかもしれません。

よく「人気」と「認知」は違うと言われます。

みんなが知っているけど支援はしようとは思わない。逆に一部にしか知られていないんだが、確実に人の心に突き刺さる何かを持っている。今は様々な方法で認知される方法がありますが、お金を出してもいいと思えるほどの人気者になるにはそれ相当の工夫と正しい努力が必要になってきます。

そのためにも自分とはどういう人間でどうなりたいかというストーリーを明確化することが大切だと僕は考えます。

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