手のひら返しと女
なんだかな、と思うことがあった。
私は大学一年生の頃から、一つのバイト先で4年間ずっと働き続けている。
パワハラ・セクハラの見本市なくらいひどい職場で、それでも「仕事」というものの本質を教えてくれた場所だ。
辞めていく人も多かったけど、私は辞めずに4年間続けてきた。
もちろんクソみたいな上司にイラつくこともあった。
何で私が怒られているんだと、悩むことだって何度もあった。
それでも辞めなかった。
なんだかんだで、お客様と関われる仕事が楽しかった。
そして、今のバイト先で面接を受けて、内定をいただいた。
まだまだやりたいことがある。成長もしたい。
この仕事にかかわっていきたい。
だから、内定をもらったことがうれしかった。
頑張ろうと思った。
そんな大切なバイト先で、なんだかなと思うことがあった。
簡単に言ってしまうと、女の争いに思いもよらぬ形で参戦してしまったということ。
私はバイト先で、明るく誰とでも仲が良いキャラで通っている。
まあ確かにどの部署も関係なく話すし、私は基本的に話すのが好きなのでその評価は否定しない。
人から好かれるための努力もしていたつもりだし、周りからの期待に応えられるように努力もしてきたつもりだ。
そんな中の、とある日の出来事。
普段は笑いあって話すような関係の人、仮にここではAさんとしよう。Aさんの当たりが妙に強い。いつもだったら目があえば先に挨拶をしてくれる。そして笑ってくれる。話すのだってため口で話しかけてくる。
そんなAさんは、定年を過ぎた契約社員のおば様だ。
私にとっても良いお母さんのような人で、悩みごとの相談なんかもしてきた。
もちろんAさんの仕事を手伝ったりもしたし、負担を減らすようにもしていた。
それなのに、なんでだろう。
姿を見かけても無視、挨拶しても無視、敬語で話しかけられるようになりました。
心当たりといえば、この数日前。
Aさんに対して、私が仕事に関することで注意をしたこと。
私はバイト先で「数人で同じ仕事をやるな」と教わってきた。確かに、同じことをやっても意味ないと思うし、効率が悪いと思う、だから、Aさんにもいつものように伝えた。
「Aさん。ここは私がやるので、Aさんはあっちをお願いしても良いですか?」
笑いながら、注意というよりはお願いくらいの気軽さで。
そこでなんとAさんの突然のブチ切れ。
それはもう、その場にいた人間4人が固まるくらいに。
「私は一緒にやるのがいいと思ったのに、、だって明日のこと考えたらこっちを片付けるほうが先でしょう?」
「あ、いや。どっちにしてもあっちを片付けないと明日のこともできないので。Aさんが嫌なら私があっちをやるので、Aさんはこっちをやってくださいますか?」
「いや、どっちとかじゃなくてさあ、、(ぶつぶつ)」
とまあこんな感じで。
これより前は普通に会話していた人が、凄く普通にめちゃくちゃ起こってきたのだ。
Aさんはぶつぶつと怒りながら頼んだ仕事をし始めたので、私は一言お礼を伝えてから自分がやっていた仕事をつづけた。
Aさんがいなくなった後に、違う社員が「災難だったね」と話しかけてきた。
「私、そんな怒らせるようなこと言いました?」と聞いても、「そんなことない」「正しいよ」と周りが声をかけてくれる。
「最近あの人おかしいからさ、気にしないようにしな」
それに頷いて、この出来事は心の奥底にしまった。
そして冒頭に戻る。
結局のところ、気にしないなんてことは無理だったのである。
Aさんに無視され続け、心がまいりつつあった中。
さらに追い打ち。
こんなうわさが耳に入った。
「最近ほしのさん調子にのってるんでしょ」
どうやら、そう言われているらしい。
そしてさらに言われたのが、「内定もらったからって調子に乗ってるんじゃないの?」という言葉。
私は調子になんてのってない。
内定をもらったことは確かだ。でも、私は内定をもらったから、周りが期待してくれるそれに応えようと思って努力した。
「もう先輩なんだから」と、指示を出す側に立ちなさいと言ってきた人たちの、その言葉に応えられるようにした。
教わったことは全部メモに書いたし、分からないことは必ず聞いたし自分でも調べた。立派な、仕事人になれるように努力した。
もちろん、プロからしたらまだまだな人間なんだろうけど。
それでも、褒めてくださる方だっていた。
なのに、それが調子に乗ってる。
さらに悲しかったのが、私が女の人の立場を奪うと言われていること。
古株の人たちにとって、4年目の私はぽっと出の人間だ。
そんな人間が、いろんな人と仲良くなってしまっているのが気に食わないらしい。
古株の女性陣が、私をそう言っているんだと。
そして、そういう私に対してのネガキャンが始まったのがAさんに注意したことがきっかけだったみたいだ。
悲しい。
すごくすごく、悲しい。
仲がいいと思っていたのは、私だけだったみたいだ。
でも、それでも、仕事は楽しい。
そして、私のことをきちんと見てくれてる人がいた。
どうしようもなくなって相談した、私の信頼している人。
たまに私の彼氏事情を聞いてきたり、笑かしてくれて。まだまだな私を厳しくしかってくれる人。
「ほしのは調子にのってるんじゃなくて、内定もらったから、さらに頑張ろうって思ってるように見えるけどな」
その言葉で、思わずバイト先で泣いてしまった。
思っていたより、今のバイト先の状況は私の心の負担になってしまっていたらしい。
信じている人に、言葉にして認めてもらって、本当に、嬉しかった。
頑張っていて良かったと思った。
これからも、私は私の信じているように努力しようと思う。
ただただ、何が言いたいかというと。
女の人って怖いよね って話。
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