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【日記】情緒、乱高下


1月24日 曇り
今日すれ違った犬:セントバーナード



 忙しさとストレスですっかり忘れていたのでまずは新年のご挨拶から。
 明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いいたします。


 さて、前置きを終えて早速本題。
 最後に日記を更新したのは11月末、そして現在は1月下旬。去年から今日に至るまで何をしていたかというと、シンプルに就職活動である。

 黒田ちゃんはかつて非正規雇用で、ほぼ単純作業しかない職場で働いていた。とはいえそこで働く人はみんな人柄が素敵だし、子供と近い年齢だからか年上の同性の先輩方にたくさん可愛がっていただいていた。そのおかげでその前の仕事で受けたダメージとトラウマをだいぶ払拭できたし、取りたい資格も取り切ったので動くことにした。

 …というのが理想。
 ところがどっこい『前の仕事で受けたダメージとトラウマ』が払拭どころか加速した出来事があった。黒田ちゃんは、本当に自分で書くのもむず痒いけど、仕事場でそこそこ優秀な成績を収めていた。もちろん誰にでも出来るし覚えればどうとでもなる、なんなら真面目に働いてれば全世界の人間が評価を受けるレベル。自虐はそこまでにして、社員さんからかなり褒められていた。何なら色々な方面で心強い味方になってくれた。だがちょっと変わった異性の先輩はそれがあんまり面白くなかったみたいで、私に強く当たるようになった。しかも賢いから誰も見えてない場所で皮肉だのなんだの言われて、この間はついに怒鳴られた。1度ではなく複数回。本当にちょっとした出来事だったのに。そこで前の仕事で受けたパワハラ、更に遡り過去に教師に振るわれた暴力の数々がブワっと蘇って、ついにそいつに負けた。つまり仕事辞めた。メンタルクソ雑魚、どうしようもない社会不適合者。

 問題はここから。まず仕事が無いと収入源が無い。加えて職歴に間が空きすぎてしまうとすぐ怠惰を疑われる非常な世の中、1か月くらい休んですぐに動く気でいた。
 二つ目は…特にここからが重要なのだが、極度に失敗を恐れてしまい、人と接することがものすごく苦手になってしまった。コンビニで「お箸つけますかー?」と聞かれた時、いつもなら「あ、大丈夫ですー」と簡単に返答できた。他にも職場で周りを見て状況を判断しつつ何をしたらいいかを考え、すぐに行動していた。だが、これらが突然出来なくなった。理由は分からないが、見知らぬ相手と話そうとすると声が震え、どもり、頭が真っ白になる。周りを見て動こうとしてもすべてが空回りになる。気遣いしておこうと思ってやったことが、裏目になる。事実だけ書くとどうしても淡白になりがちだが、毎日こういったミスが多くなるようになり、もう何をしたらいいのか分からなくなった。こういう時って医者に行かないとなの? 行って、薬貰って、それで何とかなるものなの?

 考えれば考える程わからなくなって、何が正しいのか、どうすれば戻れるのか、試しにやった行動が全て失敗。辛さが勝りついにやや長い時が過ぎてしまった。そう、仕事辞めたのは去年のだいぶ初めの方なのだ。そしてそろそろ、本当にそろそろ――と何度目かの『そろそろ』が頭に浮かび、去年の終わり頃に行動を始めた。

 最初から最後まで酷かった。
 何故なら私のこの『ミス』はなくならなかった。

 初めて対面したハローワークの職員さんと話す時に異常なまでにどもった。あまりにどもるから『落ち着いて』と笑って話された。徐々に打ち解けたかなと期待を抱けるようになったものの、職歴を話す時にまた戻った。何を喋ってるのか自分でも理解できなくて、『ゆっくりでいいよ』という職員さんの言葉に涙が出て感情がいっぱいになり、話すことも話せずその日は何の進展もなく終わった。最悪な1日だった。

 これは面接どころじゃないと考え、次に東京都の雇用創出・安定化支援事業にエントリーした。2カ月間派遣社員として派遣され、上手くいけばそのまま正社員として雇用される事業だ。派遣に面接はなく、基本的に担当者が話を付けてくれている。こちらですることは情報を入力してにこやかに対応する程度。またとない機会だ。ちなみに登録すると電話で今までの仕事について聞かれるのだが、ここでもどもった。ただ電話相手の方が超ベテランカウンセラーだったのか非常に話しやすくて、どもる都度、私が言いたかったことをまとめて復唱して確認してくれた。でも上手く話せなかったことに落ち込んでその日も泣いた。
 Aの方で申し込んで登録情報を埋めて、色々動いた結果、思っていたより短い時間で職場見学にまでたどり着いた。そして見学当日、私は盛大にどもった。もう、思い出すだけで叫び出しそうなくらいに。泣きたかった。こんな滅茶苦茶な日本語で通じたら逆にすごいと思った。手も口も震えて、今すぐに逃げ出したかった。上手い返しなんて何一つできなかった。担当者の方に何度も謝った。
 あと、何が悪かったかこの日は全ての行動にミスが発覚した。そう、全てだ。事前に登録した情報にも、職場見学の面談でも、礼儀作法でも、何なら忘れ物もあった。家で配膳する時に箸、皿を間違える。お風呂がとっくに湧いてあるのに全て抜いてしまう(沸かしなおした)、友人との電話でひどい聞き間違いをする、購入したワイヤレスイヤホンをすぐに壊す、ワイヤレスイヤホンが壊れてる事に気が付かず通話して私の声だけノイズが酷いと言われ反感を買う…。人間、1日でこれだけの失敗を築けるのかと逆に関心。サイコロ回したら100回中100回1の目しか出ない人生ゲームみたい。

 話を戻して職場見学後、何故か知らないがダメダメなミスばかりしていたにも関わらず何故か通った。というわけでもう間もなく黒田ちゃんは社会復帰できるらしい。だがもう私は不安で不安で仕方がない。どもる、上手く喋られない、どうしようもない自己否定、行動すべてが裏目に出る――こんな事したら職場を壊すだけなんじゃないのかと。もちろん派遣だから、たった2か月だから、どうせこの世に会社はたくさんあるから、と前向きに考えることが出来る。それでも私なんかを雇ってくれた会社に恩を返したいし、やっぱり人間だから失敗はしたくない。でも失敗しそう。というかする。確実に、取り返しのつかない事。しそうな気がする。

 優しさを食うだけ食って何も成果を出せない化け物。
 こんなのが世の中に出ていいのだろうか。

 新年は波乱の幕開け。読者の皆様はエンターテイメントとしてお楽しみください。


こんなところ読む暇があるなら今すぐヘルシングを読んで下さい。