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トヨタ2000GT誕生日

トヨタ博物館のHPによれば5月16日はトヨタ2000GT発売記念日=生誕の日なのだそうだ。その当時、もちろん価格も含めて浮世離れしたその存在を拝める機会は極々稀で、どこどこの誰々が購入したらしいと噂を聞きつけては自転車飛ばして、見に行ったりしたものだ。

このクルマのどこが飛びぬけていたか?もちろんその美しいプロポーションは半世紀を経ても魅力を失わないばかりか,当のトヨタでさえこれを凌ぐ傑作はいまだに生み出せていない(と言いたい)ほど。
ロータスに倣ったXボーンタイプのフレーム構造は、どちらかといえば旧守的な手法、二十年ほどを経てクラウンからも消えてしまった。

何より大きな影響を残したのはヤマハの手になるツインカム・ヘッドと5速マニュアルのトランスミッション。弟分のトヨタ1600GTにも踏襲されたほか、マークⅡGSS、セリカGTにも搭載され,その後のトヨタ車ツインカム人気の導火線となる。

意外やハッチバックドアを設けていたのも,ホンダS・クーペver同様,時代に先んじた装備だった。三角窓を持たない、すっきりしたウィンドウグラフィックも同年デビューのブルーバード3世代目やクラウン3世代目同様、日本車のトレンドを牽引することになる。4輪ディスクブレーキ標準装備もそう。リトラクタブルのヘッドランプに至ってはサバンナRX-7以降、80年代のターセル・コルサからアコードにまで広く伝播し,日本車のファッション・トレンドともなったくらい・・・・・

今では新車当時の十倍,いや五十倍にも及ぶ価格で取引されてもいる高価な宝飾品・・・・・・その実車をほんの少しだけ運転したことがある。が、せっかくの150馬力も今ではごく平凡な数字,おまけにクラッチ滑りや冷却水漏れなどあって完調とは程遠いコンディション、決定打は,自分には完全に不足していたヘッドクリアランス。(愛車のZでは、シート固定の穴が二種類空けてあり、海外向けの穴にセットすれば私の座高でも問題なく理想のポジションを取れたものだった・・・・・)

唯一、70万台も売れたZでは得られなかったもの。それはこの歴史的名車を所有する喜びと誇り、(それに将来の価格上昇期待)だろうか?
今,傍にたって見下ろすととても小さく感じる車体ではあるものの、その存在感は少しも縮んではいない,唯一無二の偉大なる名作なのだ。

セリカの発売直前、東京・馬込の中古車店で150万円のプライスを付けられていたあのMF10,今頃誰のガレージを棲家としているのだろう・・・・・

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