見出し画像

BABY BABY

6月7日で子どもが生まれて2ヶ月になった。
緊急事態宣言が出た日に生まれ、宣言そのものは解除されたが、平和とは言い切れない日常が続いている。

そんな世間とは全く関係なく生後60日の命は毎日必死に生きている(ように見える)。
ミルクを飲む量は増え、時間は3時間おきから4時間おきになった。
感情が芽生えつつあるのか、最近はよく笑う。
生後2ヶ月までの笑みは生理的微笑と言い情緒に関係なく現れる本能的な反射のひとつだそうで、それ以降に現れる笑みは社会的微笑といい、周囲の人やものからの働きかけに反応して出るとされている。
周囲の人たちと同じ表情を作るよう脳が命令しているそうだ。全く不思議な生き物だなと思う。25歳の僕はデリカシーがなく協調性がない性格に対して、生後2ヶ月のこの子は社会性のカケラを本能的に身につけようとしてる。すごいことだ。

 クーイングと呼ばれる発声もここ最近でかなり増えた。アーだのウーだの、たまに動物が鳴いているようなクーという音が口から出る。この音は声帯など声を出す器官が発達することで出るようになる声だそうで、しみじみとしてしまう。この声を聞くとノドを鳴らしている猫を思い出す。眠くなっちゃうような柔らかい表情と顎を撫でる手にすり寄ってくる体。あの時の心を開いてくれたような感覚を思い出す。
 ちなみにチンパンジーも人の言葉を理解できる。それでも喋ることができないのは単に口の構造の問題らしい。いつかは「アレとって」「コレ貸して」と喋るチンパンジーも現れるのだろうか。
 あ、少し前にYahoo!ニュースで、富津市で檻が何者かによって破られて猿が脱走したというニュースを見た。猿たちへの愛情故の犯行だろうか。それとも単に暇つぶしか。悪いことには変わりないけれど、せめて前者であってほしい。頭のいい動物だから周囲に住む人たちが心配だ。

 話題を子どもの話に戻すと足もよく動くようになっている。あまりにも動くものだから寝返りを打ちそうだ。今のところ、返りそうで返らない。寝相はすごく悪い。いつのにか180度向きが変わっている。寝てるだけなのになぜそんなに動いてしまうんだ。
 少し前にはようやく実家に連れて行くことができた。祖母は片時と側を離れなかった。分かりやすいくらい楽しみにしてた。
 意外だったのは父だった。基本的には寡黙で、酒もあまり飲まず、ディズニーリゾートにいてもテンションが上がっている様子を見せない父が、赤ちゃん言葉で喋りかけ、抱っこした姿を写真撮ってと言ってきた。この年になって父の新しい一面を見るとは。
 赤ちゃんは沢山の人に囲まれると興奮して夜寝ないらしく、恐々として家に帰るのだけど、この子に至っては普通に寝る。長いとぶっ続けで6時間眠る。寝過ぎではと心配するくらいだ。
 "裏切られる瞬間"は他にもある。
それは予防接種に連れていった時のことだ。前の子どもが超音波かと思うほど泣いていて、親は手に汗、子は寝ぼけ眼で待った。こっちがドキドキしてしまう。先生に呼ばれ、ちぎりパンのようなもっちりした肌に針が吸い込まれていく。さあ泣くか!?と身構えていたのに(せっかくだから動画でも撮ろうと準備していたのに)ふぇぇぇえ…とちょっと声を出して終わり。なんだか肩透かしを食らった。意外と大人しいのね。
と思ったけど、痛みも後天的に覚えていくものらしく今回は分からなかったのだろう。次は9月に予防注射があるのだけど、その時には大泣きをするのかもしれない。でもそれは同時に成長した証でもあるなと思える。今は。その時はどうなることだろう。

生まれた時は3キロだった体重は5キロに増えた。成長スピードが早くて自分が置いていかれそうだ。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?