Base Ball Bear 3/18 ツタロック レポート

12:00を迎えたMASSIVE STAGEにBase Ball Bearが登場した。今まではサポートギターを迎えてライブをしてきたBase Ball Bearだったが、この日はスリーピースバンドとしてライブをする。3人のみの編成で本格的にステージを披露するのは初めてということで、緊張感が漂っていた。
ライブは出会いと別れの季節、春にぴったりな"changes"でスタート。イントロ部分から早くもオーディエンスのこぶしが多く上がった。
3人のBase Ball Bearを何度か観てきたが、その度に〈変わったのは 僕自身だ〉のフレーズにグッときてしまう。心の熱い部分を掴まれたまま、"PERFECT BLUE"へ。青春という意味での「青」と、ネガティブな意味での「青」が混在したこの楽曲も春にぴったりマッチしていて、室内ライブ中にも関わらず、春の喜びと悲しみを味わえてしまった。Base Ball Bearは四季の変化を楽曲に落とし込むのが上手い。
「今日はほとんど先輩が居ないんです。ヘタすれば一番上っぽくて。最年長の演奏力を観ていって下さい。」と小出祐介(Vo)が簡単なMCを挟んで演奏されたのは"文化祭の夜"だ。関根史織(Ba,Cho)の歪んだベースが心地良い。先ほどまで青春性に富んだ甘酸っぱい雰囲気だった会場は、楽曲の持つファンキーな雰囲気に一気に飲み込まれた。バンドは間髪入れずに"The Cut"へとなだれ込む。彼らの演奏は、少し前まで甘酸っぱい青春性に富んだ曲を歌っていたとは思えないほどに妖艶で情事のような色気に塗れていた。かと思えば次の"ドラマチック"ではまたしても青春性を爆発させた甘酸っぱい曲を投下。まるで17歳と29歳を行ったり来たりするような、タイムトラベルをしている感覚に陥った。オーディエンスの熱気が一段と高くなった"真夏の条件"を挟んで、最後は"十字架 You and I"。歯切れの良いカッティングと声すらも楽曲として扱う小出も圧巻だったが、堀之内大介(Dr,Cho)の「ターーン!」という高音のドラムが一際心地良かった。
小出の声とギターも然ることながら、関根の奏でる妖艶なベースと、堀之内のアグレッシブなドラムと3人が3人とも高い演奏力を魅せた。長いキャリアで培った演奏力で、スリーピースバンドとして生まれ変わったBase Ball Bear。この30分で分かったのは、今バンドが良い状態にあるという、紛れもない事実だった。

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