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アマテラスの暗号+++(感想)

アマテラスの暗号 〈歴史ミステリー小説〉 


アマテラスの暗号を読んで、嬉しかったことがある。

伊勢谷武は、世界最大のミステリーの1つとも言われている「契約の箱」が伊勢神宮にある、という結論に、ある程度の根拠を以って辿り着いてみせ、それを小説として発表したのである。

それはつまり、私が2017年に発表した作品と、同じ結論に辿り着いた人物が現れたということである。その点に大いなる感動を覚えたのだ。

日本と世界の歴史を切り離して捉えるのではなく、横断しながら手がかりを集める、その姿勢にも共感できる部分が多々あった。

時代をまたぎ、国内外の様々な場所に散りばめられた情報を物語の形に落とし込んでいく作業がどれほど大変かと想像すると、伊勢谷氏のやった仕事は素晴らしい。感動的である。

それにもともと小説家という訳ではない伊勢崎氏であるが、例えば「天橋立」のことを敢えて頑なに「参道」と呼んでいた点などは、表現することへ挑戦するストイックな姿勢を感じることができた。

天橋立は、元伊勢籠神社の参道なのである。
年間に何万人も天橋立に観光目的で訪れているが、いったいどれほどの人間が、これを参道と知っているだろうか。リフトに乗って高いところへ上がって写真を撮るだけで満足して帰ってしまっていないだろうか。いったいどれほどの人間が、その参道を歩いて渡り、実際に籠神社へ参っているだろうか。そして都市伝説に踊らされるだけでなく、真実を手に入れようと海部氏の本『元初の最高神と大和朝廷の原始』を読んでいるだろうか。そこには教科書に書いてない豊受大神の正体が書いてあるのだ。それだけではない。日本は本当にすごい国だぞ。日本国民はこれを知らずにいていいはずがない。
そのような作者の嘆き、怒り、悲しみのようなものを感じ取ったのは私だけではあるまい。物語の終盤で『元初の最高神と大和朝廷の元始』が物理的にも活躍する場面が私は嫌いじゃない。

単なる都市伝説を超えた素晴らしい点はいくつもあった。
その中でも、日本の歴史にユダヤの民が関与した2つの時期を明確に分けて説明して見せている点は、エンタメ化された都市伝説の中で一緒くたに語られがちな失われた十氏族と秦氏の時系列的な区別に成功していると言える。都市伝説やオカルトを入り口にして日ユ同祖論に興味を持った人に対しても、一段階上の理解へと導いてくれるに違いないと思う。

残念ながらエチオピアのことはご存知でないようで、私のようにエチオピアに失われた十氏族のうちのダン族が辿り着いていたことや、エル・シャローム(平安京)はエチオピアにもあり、そこの教会に六芒星が描かれていることや、そもそもエチオピア皇室はダヴィデの子のソロモンとシェバの女王の間に生まれたメネリク一世から続いた万世一系であることや、プレスタージョンの伝説(エチオピアに関するヨーロッパでの逸話)では、秦氏と同じネストリウス派のキリスト教の王の話が伝わっていたことや、その日本とエチオピアが1930年代に超接近し、日エ同一起源説を唱うものがいたことや、皇室との結婚話があったことやあんなことやこんなことを知っているのはかなり少数だと思うので、叶うなら伊勢谷氏と話してみたい。

契約の箱が日本にあるとしたらエチオピアにある契約の箱は偽物かどうかって議論もしてみたい。両方とも本物だという証拠の数々を私ほどに集めた者もなかなか珍しいのではないかと思う。One Piece of Two Pieces.... それは終わった過去の話ではないのだ。

私はエチオピアの研究という全く別の道から、外宮にヤハウェ、そして契約の箱が祀られているという結論に辿り着いた。道筋は違うけれど、やはりそうかと思わせてくれたのが『元初の最高神と大和朝廷の元始』であった。それを発展させた『アマテラスの暗号』は私にとって単なる歴史ミステリーを超えた、心ときめく素敵な作品であった。


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